JIIMA認証とは?見るところと認証の限界
目次
JIIMA認証は、電子帳簿保存法に対応したソフトを選ぶときの目印として使われています。ただ、認証があれば法律の要件を全部満たせる、というものではありません。認証が見ているのはソフトの機能で、事務処理規程や運用は認証の外にあります。
この記事では、JIIMA認証を、誰が何を認証しているのか、5つの区分、選ぶときに見るところ、認証で保証されない部分の順に整理します。認証の区分や対象は更新されます。最新の情報はJIIMAと国税庁のサイトで確認してください。
結論:ソフトの機能についての民間の認証
JIIMA認証は、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が行っている認証制度です。電子帳簿保存法の要件を満たす機能を持つソフトウェアであることを、第三者の立場で確認したものとされています。
| 内容 | |
|---|---|
| 認証する団体 | 公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA) |
| 何を見ているか | ソフトウェアの機能が法的要件を満たしているか |
| 法律上の位置づけ | 法令で義務づけられた認証ではない(民間の認証) |
| 国税庁との関係 | 国税庁のサイトに「JIIMA認証情報リスト」が掲載されている |
「認証が無いソフトは使えない」わけではありません。認証は任意のもので、自社開発のシステムでも、要件を満たしていれば問題ないとされています。国税庁には、自社開発システム等についての事前相談窓口があるとされています。
とはいえ、要件を満たしているかを自分で判定するのは負担が大きいところです。認証は、その判定を第三者がやってくれたもの、という位置づけになります。市販のソフトから選ぶなら、目印として使う価値があります。
読み方は「ジーマ」
JIIMAは Japan Image and Information Management Association の略とされていて、「ジーマ」と読まれています。読み方が分からないまま検索している人が多い言葉です。
認証の区分は5つ
JIIMA認証は1種類ではありません。電子帳簿保存法のどの区分に対応するかで分かれています。JIIMAのサイトでは、次のような区分の製品一覧が公開されています。
| 認証の区分 | 対応する保存 |
|---|---|
| 電子帳簿ソフト法的要件認証 | 電子帳簿等保存(「優良な電子帳簿」の機能要件) |
| 電子書類ソフト法的要件認証 | 電子書類の保存 |
| 電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証 | スキャナ保存 |
| 電子取引ソフト法的要件認証 | 電子取引データ保存 |
| デジタルシームレスソフト法的要件認証 | 授受と保存を自動連携する仕組み |
自社に必要な区分の認証があるかを見るのが、いちばん重要なところです。「JIIMA認証取得」とだけ書かれていても、それがスキャナ保存の認証なのか電子取引の認証なのかで、意味がまったく違います。
電子帳簿保存法で義務なのは電子取引データ保存だけなので、まず見るのは「電子取引ソフト法的要件認証」になります。3つの区分の整理は電子帳簿保存法の要件にまとめています。
電子帳簿ソフトの認証は「優良」のほう
紛らわしいのが、電子帳簿ソフト法的要件認証です。国税庁のJIIMA認証情報リストには、JIIMAが認証した電子帳簿ソフトは、電子帳簿保存法における「優良な電子帳簿」の機能要件を満たしたものという注記があるとされています。
優良な電子帳簿は、届出を出しておくと過少申告加算税が軽減される、というメリットを取りにいく仕組みです。義務ではありません。
この認証があるソフトを使っているからといって、優良な電子帳簿の扱いを自動的に受けられるわけではありません。あらかじめ届出書を出しておく必要があるとされています。
選ぶときに見るところ
「JIIMA認証あり」という表示だけで判断すると、必要な機能が入っていないことがあります。見るところを挙げます。
| 見るところ | 理由 |
|---|---|
| どの区分の認証か | スキャナ保存と電子取引では要件が違う |
| 認証を受けたバージョン | 認証は製品のバージョン単位で行われる |
| 認証の有効期限 | 更新審査の状況で扱いが変わることがある |
| 検索の3項目に対応しているか | 取引年月日・取引金額・取引先で検索できるか |
| 訂正・削除の履歴が残るか | 改ざん防止の措置として使えるか |
| データを書き出せるか | 解約したあとも保存期間のあいだ読めるか |
最後の「書き出せるか」が、契約する前に確かめておきたいところです。保存期間は国税関係書類で原則7年、欠損金の繰越控除を受ける事業年度は10年とされています。ソフトの契約期間より長くなります。
使っているソフトが対応しているか先に見る
新しいソフトを探す前に、すでに使っている会計ソフトや経費精算のソフトが対応していないかを確かめると、何も買わずに済むことがあります。
- 会計ソフトのメーカーのサイトで、JIIMA認証の記載を探す
- 国税庁のJIIMA認証情報リストで製品名を探す
- 電子取引の保存機能がオプションになっていないかを確かめる
機能はあるのに設定が有効になっていない、という状態がよくあります。契約している範囲で使えるかどうかを、サポートに1回聞いてみるのが早い形です。
認証で保証されない部分
ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。JIIMA認証は、ソフトの機能についての認証であって、運用は含まれません。
国税庁のJIIMA認証情報リストにも、電子帳簿保存法の保存等の要件には、ソフトの機能以外に事務の手続に関するものが含まれる、という趣旨の注記があるとされています。
| 認証で確認される | 自社で用意する | |
|---|---|---|
| 検索機能 | ○ | |
| 訂正・削除の履歴 | ○ | |
| タイムスタンプの付与 | ○ | |
| 事務処理規程 | ○ | |
| 事務の手続を明らかにした書類 | ○ | |
| 実際にデータを入れているか | ○ | |
| 入力期間を守っているか | ○ | |
| ディスプレイ・プリンタの備付け | ○ |
認証ソフトを買っただけでは、要件は満たせません。データを入れる運用が回っていなければ、保存されていないのと同じです。
いちばん多いのは「入れていない」
実務で起きるのは、要件の細かい部分を外すことではなく、そもそもデータが入っていないという状態です。
- ソフトは導入したが、担当者が使い方を知らない
- 一部の部署だけが使っていて、他は従来どおりメールの中に残している
- 最初の月は入れたが、続かなくなった
認証は、この部分を何も保証しません。ソフトを選ぶことと、運用を作ることは別の仕事になります。運用の作り方は電子取引データの保存にまとめています。
認証が無いソフトを使う場合
認証は義務ではないので、認証の無いソフトや、自社で作った仕組みでも構いません。判定を自分でやることになります。
自前で判定する場合は、国税庁の「電子取引データ保存要件チェックシート」に沿って見ていくのが確実です。要件は3つしかないので、1枚で判定できます。
| 確かめること | どう確かめるか |
|---|---|
| 改ざん防止の措置 | 訂正・削除の履歴が残るか。残らないなら事務処理規程を作る |
| ディスプレイ・プリンタ | 画面で見られて印刷できるか |
| 3項目の検索 | 取引年月日・取引金額・取引先で探せるか |
共有フォルダとファイル名の工夫でも、要件は満たせます。改ざん防止を事務処理規程で満たし、検索は売上高5,000万円以下のルートに乗るなら、ソフトを買わずに始められる形になります。検索の判定は検索要件の3つにまとめています。
自社開発のシステムで進める場合は、国税庁に自社開発システム等についての事前相談窓口があるとされています。要件定義の段階で相談できる仕組みです。
ソフトを比べるときの表
複数の製品を比べるときは、機能の一覧を横に並べても判断がつきません。自社が満たしたい要件から見ると、比べる項目が絞れます。
| 自社の状況 | 見る項目 |
|---|---|
| 電子取引だけ対応したい | 電子取引ソフト法的要件認証/検索の3項目/書き出し |
| 紙も減らしたい | スキャナ保存の認証/解像度の対応/入力期間の管理 |
| 売上高が5,000万円以下 | 検索機能は必須ではない。保存と改ざん防止だけ見る |
| 拠点が複数ある | 拠点ごとの権限設定/同時に使える人数 |
| 会計ソフトを使っている | そのソフトの対応状況を先に見る |
3行目が見落とされやすいところです。基準期間の売上高が5,000万円以下なら、検索要件が不要になるルートに乗れるとされています。検索機能の強さで製品を選ぶ必要が無い場合があります。
見積りで比べるところ
金額だけで比べると、後から差が出ます。見るのは次の3つです。
| 見るところ | 差が出る理由 |
|---|---|
| 課金の単位 | 人数か、保存件数か、容量か |
| 保存できる期間 | 契約中のみか、過去分も含むか |
| 書き出しの費用 | 解約時のデータ書き出しが有料のことがある |
3つ目を契約の前に確かめておきます。解約するときに書き出しが有料だと分かると、乗り換えの判断そのものが縛られます。保存期間が7年から10年あることを前提に見ます。
導入したあとに決めること
ソフトを入れただけでは要件は満たせません。入れたあとに決めることのほうが多く、ここを飛ばすと動き出しません。
| 決めること | 決め方の例 |
|---|---|
| 誰が入れるか | 受け取った人が、その場で入れる |
| いつまでに入れるか | 受領したその日か、翌営業日まで |
| 入れ忘れをどう見つけるか | 月次で、仕訳の件数とデータの件数を突き合わせる |
| 訂正が必要なときの手続 | 申請と承認の記録を残す |
| 権限を誰に渡すか | 拠点ごとの担当者に閲覧と登録の権限 |
「誰が入れるか」を経理に集めると、続きません。各自のメールボックスから集める作業が毎月発生するためです。受け取った人がその場で入れる形にすると、集める作業そのものが消えます。
導入の初期は、入れ忘れの件数を月に1回見て、多い部署に理由を聞く形にすると定着します。使い方が分からないのか、手順が面倒なのかで、打つ手が変わります。
よくある質問
認証マークを自社のサイトに載せられますか
認証を受けたのはソフトを提供している側なので、利用している事業者がマークを掲げる形にはなりません。取引先に対応状況を説明する場合は、使っている製品名と認証の区分を伝える形になります。
JIIMA認証は必須ですか
必須ではありません。法令で義務づけられた認証ではなく、民間の認証です。認証の無いソフトや自社開発の仕組みでも、要件を満たしていれば問題ないとされています。
認証があれば税務調査で指摘されませんか
そうとは限りません。認証はソフトの機能についてのもので、事務処理規程や実際の運用は認証の外にあります。データが入っていない、入力期間を守っていない、といった点は認証では担保されません。
どこで認証製品を調べられますか
JIIMAのサイトに区分ごとの製品一覧が公開されていて、国税庁のサイトにもJIIMA認証情報リストが掲載されているとされています。製品名だけでなく、認証を受けたバージョンまで確認してください。
認証を受けたバージョンより古いものを使っています
認証は製品のバージョン単位で行われるとされているため、古いバージョンが認証の対象に入っているかを確かめる必要があります。メーカーのサポートに、使っているバージョンが対象かを聞くのが確実です。
無料のソフトにも認証はありますか
認証を受けている製品には、有料・無料のさまざまなものがあります。ただし、保存期間は7年から10年に及ぶため、サービスが終了したときにデータを書き出せるかを先に確かめておきます。保存期間の全体像は法定帳簿の保存期間にまとめています。
スキャナ保存の認証があれば電子取引も大丈夫ですか
別の認証です。電子取引データ保存に対応しているかは「電子取引ソフト法的要件認証」で確認します。区分が違うと、満たしている要件も違います。
デジタルシームレスソフト法的要件認証とは何ですか
JIIMAのサイトでは、授受と保存(自動連携の上での保存)の仕様を確認したものと説明されています。請求書等のデータを受け取ってから帳簿へつなぐところまでを対象にした区分です。令和7年度税制改正でも自動連携に関する見直しが行われているとされているので、関係するかどうかは国税庁の特設サイトか所轄の税務署で確認してください。
まとめ
JIIMA認証は、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会が行っている民間の認証で、電子帳簿保存法の要件を満たす機能を持つソフトウェアであることを確認したものとされています。法令で義務づけられた認証ではありません。
区分は、電子帳簿ソフト、電子書類ソフト、電帳法スキャナ保存ソフト、電子取引ソフト、デジタルシームレスソフトの5つに分かれています。「JIIMA認証取得」という表示だけでは、どの区分かが分かりません。義務である電子取引データ保存に対応するかを見るなら、「電子取引ソフト法的要件認証」を確認します。
選ぶときは、区分と認証を受けたバージョンのほかに、解約したあとにデータを書き出せるかを確かめておきます。保存期間は7年から10年に及び、ソフトの契約期間より長くなります。
そして、認証はソフトの機能までで、運用は含まれません。事務処理規程を作ること、実際にデータを入れること、入力期間を守ることは自社で用意する部分です。実務でいちばん多いのは、要件の細かい部分を外すことではなく、そもそもデータが入っていないという状態になります。
製品を比べるときは、機能の一覧を横に並べるより、自社が満たしたい要件から見るほうが早く絞れます。基準期間の売上高が5,000万円以下なら、検索機能の強さで選ぶ必要はありません。契約の前に、解約するときにデータを書き出せるかと、その費用だけは確かめておきます。
認証の区分や対象製品は更新されます。最新の情報は、JIIMAと国税庁のサイトで確認してください。