マニフェストの返送期限|90日と180日の数え方
目次
マニフェストの控えが戻ってこない。催促したほうがよいのは分かるが、いつまでに戻ってくるべきものなのかが分からない。ファイルには交付した控えが並んでいるだけで、どれが未回収かも見えていません。
この記事では、マニフェストの返送期限を、票ごとの期限・数え方・戻らないときの動き方の3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の未回収を見つけられる状態を目指します。
結論:90日が基本、最終処分は180日
マニフェストの返送期限とは、交付した産業廃棄物管理票の写しが、処理の完了後に排出事業者へ戻ってくるまでの期限のことです。
一般には、運搬と中間処理の終了を示す票は交付の日から90日以内、最終処分の終了を示す票は交付の日から180日以内に送付を受けることとされています。
特別管理産業廃棄物については、運搬と中間処理が60日以内とされています。
ポイントはここです。期限は「戻ってくるべき日」であって、処理業者が処理を終える日ではありません。排出事業者の側が、その日までに写しを受け取っているかを確かめる形になります。
票の種類と流れ
紙のマニフェストは複数の票が組になっています。流れを押さえると、どれがいつ戻るかが分かります。
A票は、交付したときに排出事業者が保管します。
B2票は、運搬が終わったときに運搬業者から戻ります。
D票は、中間処理などの処分が終わったときに処分業者から戻ります。
E票は、最終処分が終わったときに戻ります。
B2票とD票が90日、E票が180日という対応になります。この対応を覚えておくと、ファイルを見たときに何が足りないかが分かります。
中間処理を経ずに最終処分される場合など、流れが変わることがあります。委託の形によって、戻る票が変わる点に注意します。
数え方の起点
日数の起点は、交付した日です。処理が始まった日でも、運搬が終わった日でもありません。
交付した日をA票に記録しておけば、そこから90日後、180日後が計算できます。A票の日付が空白だと、期限が出せません。
台帳を作るなら、交付の年月日の列の隣に、90日後の日付と180日後の日付の列を作ります。数式で出しておけば、更新の手間が要りません。
戻ってきた票の受領日も記録します。期限内に戻ったかどうかが、後から確かめられる形になります。
戻ってこないときにやること
期限を過ぎても戻ってこない場合、排出事業者の側に対応が求められます。
一般には、期限内に写しの送付を受けないとき、または記載に不備があるときは、委託した処理の状況を把握し、生活環境の保全上必要な措置を講ずるとともに、都道府県知事などへ報告することとされています。
この報告は、措置内容等報告書と呼ばれます。期限を過ぎてから一定の日数以内に出すこととされています。
つまり、戻ってこないことに気づかないと、報告の義務も果たせません。未回収を見つける仕組みが、そのまま義務の履行につながります。
まずやるのは、処理業者への確認です。処理が終わっているのに送付が遅れているだけなのか、処理そのものが止まっているのか。電話で確かめて、内容を記録します。
未回収を見つける仕組み
ファイルに綴じているだけでは、未回収は見つかりません。見つける形にするには、3つの工夫があります。
1つ目は、交付順ではなく期限順に並べることです。期限の近いものが手前に来るようにします。
2つ目は、戻ってきた票を別の場所に移すことです。未回収だけが残る形にすると、残っているものがそのまま未回収の一覧になります。
3つ目は、月に1回見る日を決めることです。月末や、帳簿を整理する日と同じにしておくと忘れません。
表計算ソフトの台帳なら、期限を過ぎていて受領日が空欄の行を抽出するだけで一覧が出ます。数式を1つ入れておけば済みます。
電子マニフェストを使っている場合、システムの側で未回収が分かる仕組みがあります。紙で運用している会社ほど、この工夫が要ります。
保存の期間
戻ってきたマニフェストの写しは、5年間保存することとされています。
保存するのは、A票と、戻ってきたB2票・D票・E票です。組にして綴じておくと、1件の処理の流れが1か所で追えます。
年度ごとにつづりを分け、表紙に処分の予定年を書いておくと、期限が来たものだけを取り出せます。帳簿と同じ5年なので、同じ場所にまとめて置いている会社が多くあります。
措置内容等報告書を出した案件は、その控えも一緒に綴じます。何が起きて、どう対応したかが1か所にまとまります。
電子マニフェストにすると何が変わるか
紙で運用している会社が電子に切り替えると、期限の管理の形が変わります。
1つ目は、報告の期限の管理が要らなくなることです。情報処理センターが代わりに報告するため、6月末の作業が消えます。
2つ目は、未回収がシステムで分かることです。期限を過ぎているものが一覧で出る仕組みがあります。紙のように、ファイルをめくって探す作業が要りません。
3つ目は、保存の場所が要らなくなることです。5年分の紙を保管する場所が空きます。
一方で、加入と利用の費用がかかります。件数が少ない会社では、紙のほうが安く済むことがあります。
特別管理産業廃棄物のうち一定のものについては、電子マニフェストの使用が義務とされている場合があります。自社が該当するかを先に確かめます。
台帳と現物をそろえる
期限の管理をしていても、台帳と実際のマニフェストがずれていると、未回収を見落とします。そろえる工夫が3つあります。
1つ目は、交付したその日に台帳へ書くことです。後でまとめて書こうとすると、交付日があいまいになります。交付日が正確でないと、期限が出せません。
2つ目は、戻ってきた日に受領日を書くことです。票を綴じる作業と、台帳に書く作業を同じタイミングにします。
3つ目は、月に1回、台帳の件数と綴じてある票の枚数を突き合わせることです。数が合わなければ、どこかで抜けています。
現物だけ、台帳だけ、どちらか一方では回りません。台帳は探すための道具、現物は保存の対象。2つがそろって初めて、期限の管理ができます。
建設工事での注意
建設工事に伴って生ずる廃棄物では、元請業者が排出事業者となる形が定められています。マニフェストを交付するのも元請です。
現場ごとに交付するため、件数が多くなります。期限の管理も現場ごとになりやすく、会社全体で見る一覧が無い状態になりがちです。
工夫は2つです。1つ目は、現場ごとの台帳を作ったうえで、会社全体の一覧も持つこと。現場が終わっても、期限はその後も続きます。
2つ目は、現場が終わるときの引き継ぎです。未回収のマニフェストがある状態で現場を閉じると、誰も追わなくなります。現場の締めの手順に、未回収の有無の確認を1行入れておきます。
下請が直接処理業者に委託している形になっていないかも確かめます。元請が排出事業者となる以上、下請が勝手に委託する形は取れません。
まとめ
マニフェストの返送期限は、運搬と中間処理が交付の日から90日以内、最終処分が180日以内です。特別管理産業廃棄物では、運搬と中間処理が60日以内とされています。
数えるのは交付した日からです。A票に交付の年月日を記録し、台帳に90日後と180日後の列を作っておくと、期限が自動で出ます。
期限内に戻ってこないときは、処理の状況を把握し、必要な措置を講じたうえで、措置内容等報告書を都道府県知事などへ提出することになります。
未回収を見つける仕組みが無いと、報告の義務も果たせません。期限順に並べる、戻ったら別の場所に移す、月に1回見る日を決める。この3つで見つかる形になります。戻ってきた写しは5年保存です。
よくある質問
Q. 期限を1日過ぎただけでも報告が要りますか。 A. 期限内に送付を受けなかった場合が対象になります。まず処理業者に確認し、状況を把握します。報告の要否と期限については、都道府県や政令市の窓口に確かめるのが確実です。
Q. 記載に不備があった場合はどうしますか。 A. 不備があるときも、状況を把握して必要な措置を講ずることが求められています。書き直してもらうのか、報告が要るのかは、不備の内容によります。受け取った時点で中身を確かめる習慣にしておきます。
Q. 電子マニフェストでも期限はありますか。 A. 処理の終了の報告を受ける期限が定められています。システムの側で期限の管理ができるため、紙より未回収に気づきやすくなります。
Q. E票が戻ってこないことが多いのはなぜですか。 A. 最終処分まで時間がかかるためです。中間処理を経て別の業者が最終処分を行うため、情報が戻るまでに手間がかかります。180日という長めの期限が設けられているのはこのためです。
Q. 排出事業者が複数の現場を持つ場合、期限はどこで管理しますか。 A. 交付した事業場ごとに管理します。建設工事では現場ごとに交付することが多いため、現場ごとの台帳と、会社全体の一覧の両方を持つ形が扱いやすくなります。
Q. 戻ってきた票の受領日は、どこに記録しますか。 A. 台帳に列を作って記録します。票そのものに日付を書き込むと、記載の改変と見られる可能性があるため、台帳側に持つほうが安全です。
Q. 5年の保存は、いつから数えますか。 A. 送付を受けた日から数える形が一般的です。年度ごとに分けて、表紙に処分の予定年を書いておくと管理できます。
Q. 期限の管理を紙だけで回せますか。 A. 件数が少なければ回ります。期限順に並べ、戻ったものを別に移す形にします。件数が月に数十件を超えるなら、表計算ソフトの台帳にしたほうが早く済みます。
Q. 紙と電子を併用できますか。 A. できます。取引先や廃棄物の種類によって使い分けている会社があります。ただし、紙の分については報告が必要なので、管理が2本になります。
Q. 電子にしても、期限の考え方は同じですか。 A. 処理の終了の報告を受ける期限が定められています。数え方の考え方は同じで、システムが管理してくれる点が違います。
Q. 未回収が見つかったとき、まず何をしますか。 A. 処理業者に連絡して状況を確かめます。処理が終わっているのに送付が遅れているだけか、処理が止まっているのか。確かめた内容と日付を記録に残します。
Q. 交付したマニフェストを紛失したら。 A. 交付した控え(A票)を失くすと、期限も内容も分かりません。処理業者に照会して、交付の内容を確かめます。同じことが起きないよう、綴じる場所を1つに決めます。
Q. 期限の管理を、処理業者に任せてよいですか。 A. 義務は排出事業者にあります。業者が期限を知らせてくれることはありますが、任せきりにはできません。自社でも期限が分かる形にしておきます。
Q. 現場が終わった後に届いたマニフェストは、どこに綴じますか。 A. その現場のつづりに戻します。現場が閉じても、5年の保存は続きます。現場の書類一式を保管する場所を決めておくと、後から探せます。
Q. 期限内に戻ってこないことが続く業者は、どう扱いますか。 A. まず理由を確かめます。処理の状況に問題があるなら、委託そのものを見直す材料になります。期限の遅れは、処理の遅れの兆候であることがあります。
Q. 措置内容等報告書には何を書きますか。 A. 交付したマニフェストの内容、期限を過ぎた状況、把握した処理の状況、講じた措置などです。様式は提出先が定めています。確かめた内容と日付を記録に残しておくと、そのまま材料になります。
Q. 期限の管理を、どのタイミングで見るのがよいですか。 A. 月に1回で足ります。90日と180日の期限なので、月1回見れば見落としません。帳簿を整理する日と同じにしておくと、忘れません。