業法の帳簿書き方2026.09.16 公開TK-08

産業廃棄物の帳簿とマニフェスト|どちらも5年

目次

産業廃棄物まわりの書類は、帳簿・マニフェストの写し・委託契約書の3つがあって、どれも5年保存です。年数が同じなので1つにまとめたくなりますが、起算日が3つとも違います。

さらに帳簿には、ほかの業法の帳簿にはない決まりがあります。毎月末までに前月分の記載を終えることと、1年ごとに閉鎖することです。この記事では、産業廃棄物の帳簿を、誰が作るのか記載の期限1年ごとの閉鎖マニフェストとの違いの順に整理します。実務で落ちやすいのは、担当が変わったときの所在**です。3つの束が別の場所にあるので、引き継ぎの資料に「書類名・置き場所・処分できる年」の1枚を入れておくと、探し直す時間が消えます。

対象や記載事項は事業者の区分によって変わります。自社の扱いは事業場の所在地を管轄する都道府県・政令市の廃棄物担当課に確認してください。**

産業廃棄物の帳簿やマニフェスト管理簿の様式を探している場合は、点検板グループの記録板に記入例つきのExcelがあります。

結論:帳簿は毎月・1年ごとに閉鎖、閉鎖後5年

産業廃棄物処理業者などには、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)で帳簿の備付けが定められています。

内容
根拠廃棄物処理法(処理業者は7条16項・14条17項ほか、排出事業者は12条の3関係)
備える単位事業場ごと
記載の期限毎月末までに前月中の分の記載を終える
閉鎖1年ごとに閉鎖する
保存閉鎖後5年間、事業場ごとに保存

「毎月末までに前月分」という書き方が、この帳簿の特徴です。締切が条文の側から決まっている、めずらしい帳簿になります。宅建業の帳簿は「取引のあったつど」、古物台帳は「その都度」でしたが、産廃は月次で締める形になっています。

そして1年ごとに閉鎖します。宅建業の帳簿が「各事業年度の末日」で閉じるのに対し、こちらは1年ごとです。閉じた日から5年を数えます。

毎月締めて、1年ごとに閉じる1取引票を集める2毎月末前月分を記31年ごと閉鎖する4閉鎖後5年保存
毎月締めて、1年ごとに閉じる

3つの書類で起算日が違う

年数が同じだから同じ束に入れるのが、いちばん多い間違いです。5年という数字はそろっていても、数え始める日が3つとも違うので、まとめた瞬間にどれがいつまでか分からなくなります。

産業廃棄物まわりで5年保存になるものが3つあります。年数は同じでも、起算日が3つとも違います。

書類保存期間起算日
帳簿5年1年ごとに閉鎖した後
マニフェスト(管理票)の写し5年交付した日/送付を受けた日
委託契約書と添付書類5年契約終了の日

この3つを同じ箱に入れると、処分の判断ができなくなります。帳簿は年度の束、マニフェストは票が戻ってきた日から、契約書は契約が終わってから。3つとも別の数え方です。

とくにマニフェストは、票の種類ごとに起算日が変わります。

誰が持つ起算日の考え方
A票排出事業者交付した日
B2票排出事業者運搬終了後に返送を受けた日
D票排出事業者処分終了後に返送を受けた日
E票排出事業者最終処分終了後に返送を受けた日

A票だけ「交付した日」で、残りは「受け取った日」です。同じ1件の廃棄物でも、票ごとに5年の終わりがずれることになります。工事が終わった時期と票が戻ってきた時期がずれるので、交付日でまとめて管理すると、戻りの遅い票の5年が足りなくなります。

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実際に使える様式が必要な方へ

帳簿とマニフェストの管理簿を分けて持てる様式を使いたい方は、点検板グループの記録板をご覧ください。

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5年でも起算日が3つ書類起算日帳簿1年ごとに閉鎖した後マニフェストの写し交付/受け取った日委託契約書契約終了の日
5年でも起算日が3つとも違う

帳簿に書くこと

自社がどの立場かをまず確かめます。収集運搬業、処分業、排出事業者では、書く項目も、そもそも帳簿が要るかどうかも変わります。建設業のように、現場では排出事業者、自社で運ぶときは収集運搬という形で立場が混ざることもあります。

記載事項は、処理業者(収集運搬業・処分業)と排出事業者で内容が違います。自社がどちらの立場かで書く項目が変わります。

立場帳簿に書くことの例
収集運搬業者受託した年月日、交付された管理票ごとの種類・数量、受託者の氏名、運搬先ごとの受け渡し先
処分業者受け入れた年月日、種類・数量、処分の方法ごとの処分量、処分後の廃棄物の持出先
排出事業者(一定のもの)種類、排出量、委託先、運搬先、処分の方法 など

「事業場ごと」に備えるのが共通です。複数の現場や工場がある場合、事業場ごとに帳簿を持ちます。

毎月の締めに乗せる

前月分をその月のうちに、というリズムなので、月をまたいでためると一気に重くなります。マニフェストが戻ってくるのを待っていると締められないので、届いている分で記載して、戻りの遅い票は別に追う形にします。

「毎月末までに前月中の分」という期限があるので、月次の締めの作業に組み込むのがいちばん確実です。

  1. 前月分のマニフェストを集める
  2. 種類・数量を集計する
  3. 帳簿の前月の欄に記載する
  4. 戻ってきていない票がないかを確認する
  5. 期限を過ぎている票があれば、委託先に確認する

4つ目が、帳簿を作る副産物として効きます。マニフェストには返送の期限があり、期限内に戻らない場合は都道府県知事への報告が必要になることがあります。月次で帳簿を作っていれば、その時点で気づけます。

票ごとに起算日が違う誰が持つ起算日A票排出事業者交付した日B2票排出事業者返送を受けた日D票排出事業者返送を受けた日E票排出事業者返送を受けた日
月次の締めで、戻っていない票にも気づく

1年ごとの閉鎖という考え方

「閉鎖」は宅建業の帳簿にもある考え方ですが、産廃は事業年度ではなく1年ごとという書き方になっています。事業年度と合わせても構いませんが、合わせるかどうかを決めて記録に残しておきます。

閉鎖は、その1年分の帳簿をそこで締めて、以後は書き足さないという意味です。閉じた日から5年を数えます。

宅建業の帳簿産業廃棄物の帳簿
記載のタイミング取引のあったつど毎月末までに前月分
閉鎖各事業年度の末日1年ごと
保存閉鎖後5年(自ら売主の新築住宅は10年)閉鎖後5年

閉じる日を決めておくのが実務の要点です。事業年度の末日に合わせる事業者が多くありますが、決めたらそのまま続けます。途中で変えると、どの束がいつまでかが分からなくなります。

閉じたら、束の表紙に「閉鎖日」と「処分できる年」を書きます。起算日ではなく処分できる年を書くのは、計算を最初の1回で終わらせるためです。

電子で持つとき

電子マニフェストを使っていても、紙の票が混ざる委託先があると管理が二重になります。どの委託先が電子でどこが紙かを一覧にしておくと、月次の突き合わせが早く終わります。

紙でなければならない定めはありません。電子マニフェスト(JWNET)を使っている場合、情報処理センターが記録を保存する仕組みがあるため、紙のマニフェストとは管理のしかたが変わります。

ただし、帳簿そのものは自社で備えるという整理になります。電子マニフェストを使っていても帳簿が不要になるわけではないので、そこは分けて考えます。自社の扱いは、事業場の所在地を管轄する都道府県・政令市の廃棄物担当課に確認してください。

月次の締めで戻りにも気づく1票を集める前月分2集計する種類と数量3帳簿へ前月の欄に4戻り確認未返送を追
閉じたら表紙に処分できる年を書く

3つを分けて置く

置き場所を分けるときは、同じ棚に並べて、表紙の色や見出しで区別するのが現実的です。物理的に離れた場所に置くと、担当が変わったときに片方だけ引き継がれます。

同じ5年でも起算日が違うので、置き場所を最初から分けます。

書類分け方
帳簿年ごとの束。表紙に閉鎖日と処分できる年
マニフェストの写し票が戻った月ごとの束。表紙に処分できる年
委託契約書委託先ごと。契約終了の日を表紙に書く

委託契約書がいちばん忘れられます。書類として作った記憶はあっても、保存の起算日が将来にあるため、管理の対象として意識に上りません。契約が続いているあいだは起算日が来ないため、「まだ捨てられない」状態が長く続きます。契約が終わった時点で終了日を書き込む手順にしておきます。

一般には、廃棄物の担当者が変わったときに所在が分からなくなるのがいちばん多い形です。3つの束がどこにあるかを1枚にまとめて、引き継ぎの資料に入れておきます。書類ごとの年数をまとめた一覧の作り方は書類の保存年数一覧の作り方にまとめています。

担当が変わると所在が分からなくなる

産業廃棄物の書類は、総務や現場の担当者が片手間で持っていることが多く、担当が変わると所在が分からなくなります。3つの束が別々の場所にあるぶん、引き継ぎで落ちやすくなります。

落ちやすいものなぜ
委託契約書契約のときに1回作って、そのまま
古い年度の帳簿閉鎖したあと触らない
戻りの遅いマニフェスト別の場所に仮置きしたまま

引き継ぎの資料に「どこに何があるか」の1枚を入れておくだけで、かなり防げます。書類名・置き場所・処分できる年の3列で足ります。

現場と事務で分かれているとき

現場から回ってきた票は、受け取った日を記録しておきます。B2票・D票・E票の起算日はこの日になるので、ここが分からないと5年の終わりも決まりません。

建設業のように、現場でマニフェストを扱い、事務所で帳簿を作る形になっている会社では、票が事務所に届くまでの経路を決めておきます。

  • 現場で受け取った票を、いつまでに事務所へ回すか
  • 回す途中で止まったときに誰が気づくか
  • 事務所で受け取ったことをどう記録するか

2つ目が決まっていないと、票が現場の机に残ったまま5年が過ぎます。月次で帳簿を作るときに、現場ごとの件数を突き合わせると気づけます。

閉じたら処分できる年を書く帳簿の束の表紙対象2026年分閉鎖日2027-03-31処分可2032-04以降事業場○○工場閉じる日を決めたら毎年そのまま続ける
引き継ぎ資料に置き場所の1枚を入れる

罰則と許可への影響

帳簿は「出せと言われたときに出す」ためだけの書類ではなく、自社が適正に委託したことを示す材料でもあります。この視点で見ると、記載の粒度をどこまで細かくするかの判断がしやすくなります。

帳簿の備付けや記載を怠った場合、廃棄物処理法上の罰則が定められています。ただ、実務で重いのはその先です。

起きること影響
立入検査で帳簿の不備を指摘される改善の指導
記載が実態と合っていない委託の経緯を説明できない
マニフェストの保存が欠けている処理が終わったことを示せない
許可の更新過去の運用が確認される

処理業者にとっては、許可の更新が5年ごとに来ます。そのタイミングで過去の運用が見られるので、帳簿とマニフェストがそろっていることが前提になります。

排出事業者の側でも、委託した廃棄物が最後まで適正に処理されたことを示せるのはマニフェストだけです。不法投棄が起きたときに、排出事業者に責任が及ぶ仕組みがあるため、写しの保存はそのための材料になります。

5年ごとの更新で見られる許可帳簿を始める毎月前月分を記載毎年閉鎖する5年後更新で確認更新のときに過去の運用が見られる。つど書いていれば準備は要らない
5年ごとの更新で過去の運用が見られる

よくある質問

排出事業者にも帳簿は必要ですか

事業者の区分によって変わります。多量排出事業者や、一定の要件に当たる場合に帳簿の備付けが求められる整理になっています。自社が対象かどうかは、事業場の所在地を管轄する都道府県・政令市の廃棄物担当課に確認してください。

マニフェストの写しだけでは足りませんか

足りません。帳簿とマニフェストは別の書類です。マニフェストは1件ごとの管理票、帳簿は事業場ごとに月次でまとめたものになります。記載事項も保存の起算日も違います。

電子マニフェストを使っていても帳簿は要りますか

帳簿そのものは自社で備えるという整理になります。電子マニフェストは管理票の代わりであって、帳簿の代わりではありません。扱いは廃棄物担当課に確認してください。

5年を過ぎたら捨ててよいですか

起算日から5年を過ぎていれば、法令上の保存義務は満たしています。ただし3つの書類で起算日が違うので、束ごとに判断します。帳簿は閉鎖の日、マニフェストは票を受け取った日、契約書は契約終了の日からです。

帳簿の様式は決まっていますか

法令上の決まった様式はありません。記載事項がそろっていればExcelでも構いません。都道府県が手引きに参考様式を載せていることがあるので、事業場の所在地の案内を見てから作ると早く済みます。

契約書の起算日はいつですか

契約終了の日から5年です。契約が続いているあいだは起算日が来ないため、長く持つことになります。契約が終わった時点で終了日を書き込む手順にしておかないと、いつから数えるのかが分からなくなります。

事業場が複数あります

事業場ごとに備えるものとされています。本社でまとめて作成していても、その事業場で出せる状態にしておきます。電子で持つなら、事業場から表示できるようにしておけば足ります。

排出事業者はマニフェストを何年持ちますか

票の種類ごとに、交付した日または受け取った日から5年です。A票は交付した日、B2票・D票・E票は返送を受けた日から数えます。工事の終わりと票の戻りがずれるので、交付日でまとめると足りなくなります。

マニフェストが返ってきません

返送の期限が定められていて、期限内に戻らない場合は都道府県知事への報告が必要になることがあります。月次で帳簿を作っていれば、その時点で気づけます。対応は廃棄物担当課に確認してください。

まとめ

産業廃棄物の帳簿は、廃棄物処理法に基づいて事業場ごとに備えるものです。記載は毎月末までに前月中の分を終え、1年ごとに閉鎖して、閉鎖後5年間保存します。

「その都度」の古物台帳や宅建業の帳簿と違って、月次で締める形になっているところが特徴です。月末の締め作業に組み込んでしまうのが、いちばん確実な回し方になります。

そして、産廃まわりで5年保存になる書類は3つあります。帳簿・マニフェストの写し・委託契約書。年数は同じでも起算日が3つとも違います。帳簿は閉鎖の日、マニフェストは交付または受け取った日、契約書は契約終了の日です。

マニフェストは票の種類ごとにも起算日が変わります。A票は交付した日、B2票・D票・E票は戻ってきた日です。交付日でまとめて管理すると、戻りの遅い票の5年が足りなくなります。

3つを同じ箱に入れると処分の判断ができないので、最初から置き場所を分けて、束の表紙に処分できる年を書いておきます。

対象や記載事項は事業者の区分によって変わります。自社の扱いは、事業場の所在地を管轄する都道府県・政令市の廃棄物担当課に確認してください。

点検表テンプレート
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実際に使える様式が必要な方へ

産業廃棄物の帳簿やマニフェスト管理簿の様式を探している方は、点検板グループの記録板をご覧ください。

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