警備員名簿の書き方|写真の規格と退職後1年
目次
警備員名簿は、警備業者が営業所ごとに備える名簿です。ほかの名簿と違うところが2つあります。写真を貼ることと、退職したあとも1年間は残すことです。しかも写真には「3年以内に撮影したもの」という条件が付きます。
この記事では、警備員名簿を、根拠と備える単位、記載事項、写真の規格と貼り替え、退職後1年という保存、あわせて備える書類の順に整理します。記載事項と保存期間は警備業法施行規則で定められています。自社の扱いは営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(警察本部の生活安全部門)に確認してください。
結論:営業所ごとに備える。名簿は8種類のうちの1つ
警備業法45条で、警備業者は、内閣府令で定めるところにより、営業所ごとに、警備員の名簿その他の内閣府令で定める書類を備えて、必要な事項を記載しなければならないとされています。
| 内容 | |
|---|---|
| 根拠 | 警備業法45条、警備業法施行規則 |
| 備える単位 | 営業所ごと |
| 記載事項・保存 | 施行規則で定められている |
| 保存 | 当該警備員が退職した日から1年間 |
| 立入検査 | 公安委員会が警察職員に立ち入らせ、帳簿・書類を検査できる(法47条) |
条文が「警備員の名簿その他の内閣府令で定める書類」という書き方をしているとおり、名簿は1つではありません。営業所に備える法定の書類は複数あり、一般に8種類とされています。名簿はそのうちの1つです。
そして、保存期間が書類ごとに違います。名簿は退職の日から1年ですが、指導の記録は実地に指導した日から2年、といった形で分かれています。1つの綴りにまとめると、処分の判断ができなくなります。
名簿に書く項目
警備員名簿に書くのは、おおむね次のような項目です。法定の項目と、社内で足している項目を分けて持つと、あとで整理しやすくなります。
| 区分 | 項目 |
|---|---|
| 本人 | 氏名、住所、生年月日、本籍 |
| 写真 | 本人の写真(規格あり) |
| 採用 | 警備業務に従事させることとなった年月日 |
| 退職 | 警備業務に従事させなくなった年月日 |
| 教育 | 警備員指導教育責任者による指導・教育の状況 |
| 資格 | 警備員検定の合格証明書の交付を受けている場合はその種別・級 |
| 欠格事由 | 該当しないことの確認に関する事項 |
「警備業務に従事させることとなった年月日」という書き方になっているのが要点です。入社日をそのまま書いてしまうと、教育の日付との前後関係が合わなくなります。入社日ではなく、警備業務に就かせた日を書きます。事務職として入社して、あとから警備業務に回った場合は、回った日になります。
欠格事由に該当しないことの確認も、名簿と結びつく項目です。採用のときに確認した記録を別の書類で残し、名簿にはその確認が済んでいることを示す形になります。確認の書類は名簿とは別の保存期間になるので、綴りを分けておきます。
資格の欄は検定の種別と級まで
警備員検定(施設警備業務、交通誘導警備業務など)の合格証明書を持っている人は、種別と級を書きます。空港保安警備や核燃料物質等危険物運搬警備など、その業務に有資格者の配置が必要なものがあるため、この欄は配置の判断にも使われます。
有資格者の人数を別で管理しているなら、名簿の資格欄と一覧表の数字が合っているかを年に1回は突き合わせておきます。資格の一覧表の作り方は保有資格一覧表の作り方にまとめています。
写真の規格と貼り替え
写真が要るのは、現場で本人かどうかを照合できるようにするためです。名簿が営業所にあり、警備員は現場にいるので、顔と名簿が結びつく仕組みが要る、という組み立てになっています。
警備員名簿でいちばん特徴的なのが写真です。規格と、撮影時期の条件があります。
| 内容 | |
|---|---|
| 大きさ | 縦3cm × 横2.4cm |
| 撮影時期 | 3年以内に撮影したもの |
| 貼る場所 | 名簿の所定の欄 |
「3年以内に撮影したもの」という条件が効いてきます。採用のときに貼った写真は、3年たつと条件を満たさなくなります。つまり、在籍が長い警備員ほど貼り替えが必要になります。
写真の条件を満たしていない名簿は、記載事項を満たしていない状態になります。中身は正しいのに、写真が古いというだけで指摘を受けることがあるところです。
貼り替えを止めないやり方
写真の貼り替えは、誰も締切を知らせてくれない作業です。名簿を開いたときに気づく、という運用では止まります。
- 名簿に「写真の撮影年月」の列を足す
- 保有資格一覧表と同じ月に、3年に近い人を抜き出す
- 更新のときにまとめて撮る
「撮影年月」の列を足すだけで管理できるようになります。法定の項目ではありませんが、足して困るものではありません。
一般には、検定や教育のタイミングに合わせて撮り直す運用が取られています。年1回の教育で全員が集まる機会があるなら、そこで撮ると手間が1回で済みます。
退職後1年という保存
短い期間なので、処分を急ぐ書類ではなく、起算日を書き忘れないほうが大事な書類だと考えておくと扱いやすくなります。
保存期間は、当該警備員が退職した後においても、その退職の日から1年間とされています。
| 書類 | 保存期間 | 起算日 |
|---|---|---|
| 警備員名簿 | 1年 | 退職の日 |
| 実地に指導した記録 | 2年 | 実地に指導した日 |
| 宅建業の従業者名簿 | 10年 | 最終の記載をした日 |
| 労働者名簿 | 5年(当分の間3年) | 退職・解雇・死亡の日 |
1年はかなり短い部類です。ただし、同じ人について労働者名簿は5年(当分の間3年)の保存が必要です。警備員名簿を1年で処分しても、労働者名簿のほうは残ります。
2つを1枚にまとめていると、短いほうに引きずられて早く捨てることになります。別々に持つほうが安全です。労働基準法の側は労働者名簿の書き方にまとめています。
異動の場合も同じです。前の営業所では「従事させなくなった年月日」を書き、次の営業所では新しく行を作ります。片方だけ書くと、どちらの営業所にも在籍している状態になります。
退職の欄を空欄にしない
「警備業務に従事させなくなった年月日」の欄が空欄のままだと、起算日が決まりません。いつまで保存するかも判断できなくなります。
退職の手続きの中に、次の3つを入れておきます。
- 名簿に従事させなくなった年月日を記入する
- 保存期限(退職日の1年後)をファイルに書く
- 貸与品と一緒に、資格者証などの扱いを確認する
2つ目を書いておくと、処分の判断が毎回1回で済みます。古物台帳のように「最終の記載の日」から数える書類と混ぜないよう、ファイルを分けておきます。
あわせて備える書類
書類が多いぶん、どれがどの保存期間かを覚えていられません。一覧を1枚作っておくのが、この業種でいちばん効く対策になります。
法45条は「名簿その他の内閣府令で定める書類」としています。営業所に備える書類は一般に8種類とされていて、保存期間もそれぞれ違います。
| 書類の例 | 何のため |
|---|---|
| 警備員名簿 | 誰が警備業務に従事しているか |
| 欠格事由の確認に関する書類 | 採用時の確認の記録 |
| 教育計画書・教育実施簿 | 法定教育を実施した記録 |
| 指導計画書・指導の記録 | 警備員指導教育責任者による指導 |
| 警備業務実施の記録 | 契約ごとの実施状況 |
| 苦情の処理の記録 | 苦情を受けたときの対応 |
教育の記録が、いちばん量が出ます。警備業法では新任教育と現任教育が定められていて、実施のたびに記録が増えます。年間の計画に落としておくと、実施漏れが見つけやすくなります。計画表の作り方は年間教育計画表の作り方にまとめています。
書類ごとに保存期間が違うので、1枚の一覧にして営業所に貼っておくのが実務的です。書類名・根拠・保存期間・起算日の4列で足ります。
新任教育と現任教育
警備員名簿の教育の欄は、実施した教育の記録と結びついています。警備業法では、警備業務に就かせる前の新任教育と、就いたあとの現任教育が定められています。
| 区分 | いつ | 名簿への影響 |
|---|---|---|
| 新任教育 | 警備業務に従事させる前 | 従事させることとなった年月日より前に実施している必要がある |
| 現任教育 | 一定の期間ごと | 実施の記録が積み上がる |
新任教育と「従事させることとなった年月日」の前後関係が合っていないと、教育の前に業務へ就かせたことになります。名簿の日付と教育実施簿の日付を、採用のときに1回突き合わせておきます。
区分ごとの時間数や内容は定められていて、検定を持っている人などについて一部が軽減される扱いもあります。自社の区分がどれに当たるかは、都道府県公安委員会に確認してください。
教育の記録は名簿より長く残る
教育や指導の記録は、名簿より保存期間が長いものがあります。実地に指導した記録は指導した日から2年とされています。
- 名簿 … 退職の日から1年
- 指導の記録 … 実地に指導した日から2年
退職した人の名簿を捨てても、その人に対する指導の記録は残ることになります。人ごとに1つの封筒にまとめていると、この差で判断できなくなります。書類の種類ごとに分けておきます。
名簿を止めないための3つの手順
警備員名簿は、人の出入りが多い事業ほど崩れます。触るきっかけを3つに絞ると続きます。
| きっかけ | やること |
|---|---|
| 採用して警備業務に就かせるとき | 行を作る。写真を貼る。従事開始日を書く |
| 3年ごと(または年1回の点検) | 写真の撮影年月を見て、古いものを貼り替える |
| 退職・異動のとき | 従事させなくなった年月日を書く。保存期限をファイルに書く |
2つ目を年1回の点検に固定するのが要点です。3年という周期は覚えていられないので、毎年見て「3年に近い人」を抜き出す形にします。
営業所の書類を1枚の一覧にする
一覧は営業所ごとに同じものを貼ります。営業所によって運用が違うと、異動した人が前のやり方で処理してしまいます。
書類ごとに保存期間が違うので、営業所の壁に1枚貼っておくと運用が安定します。列は4つで足ります。
- 書類名
- 根拠(施行規則の条)
- 保存期間
- 起算日
起算日の列があることが大事です。「1年」「2年」だけだと、いつから数えるのかが分かりません。警備員名簿は退職の日、指導の記録は指導した日、というように起算日が違います。
よくある質問
名簿と労働者名簿を1枚にまとめてよいですか
まとめないほうが安全です。保存期間が1年と5年(当分の間3年)で大きく違うためです。1枚にすると短いほうに引きずられて早く捨てるか、長いほうに合わせて不要に持ち続けるかのどちらかになります。写真の有無も違うので、別々に持つほうが運用も軽くなります。
名簿はエクセルで作ってよいですか
記載事項がそろっていれば形式は問われないと考えられますが、写真を貼る欄があるため、印刷して写真を貼る形で運用している事業者が多くあります。電子で持つ場合の扱いは、都道府県公安委員会に確認してください。
警備業務に就いていない事務職も載せますか
名簿は警備員の名簿です。警備業務に従事しない事務職は対象外と考えられます。ただし、あとから警備業務に回る場合は、回った日を「従事させることとなった年月日」として記載します。
写真が3年を過ぎていました
規格を満たさない状態になります。気づいた時点で撮り直して貼り替えます。名簿に撮影年月の列を足しておくと、次から期限の前に気づけます。
退職者の分を1年で捨ててよいですか
警備員名簿としての保存義務は退職の日から1年です。ただし同じ人の労働者名簿は5年(当分の間3年)なので、そちらは残ります。2つを別のファイルで持っておきます。
営業所が複数あります
営業所ごとに備えるものとされています。異動があった場合は、前の営業所で従事させなくなった年月日を記入し、次の営業所で新しく記載します。宅建業の従業者名簿と同じ考え方です。
教育の記録と名簿はどちらが長く残りますか
指導の記録のほうが長くなります。名簿は退職の日から1年、実地に指導した記録は指導した日から2年とされています。人ごとに1つの封筒にまとめると、この差で判断できなくなります。書類の種類ごとに分けて持ちます。
検定の資格は誰の分まで書きますか
合格証明書の交付を受けている警備員について、種別と級を書きます。配置の要件に関わる資格なので、名簿の欄と社内の一覧表がずれていないかを定期的に見ます。
まとめ
警備員名簿は、警備業法45条に基づいて営業所ごとに備える名簿です。条文が「名簿その他の内閣府令で定める書類」としているとおり、営業所に備える法定の書類は複数あり、名簿はそのうちの1つになります。
書く項目で気をつけたいのは、「警備業務に従事させることとなった年月日」です。入社日ではなく、警備業務に就かせた日を書きます。
そして、写真には「縦3cm×横2.4cm」「3年以内に撮影したもの」という条件があります。在籍が長い人ほど貼り替えが必要になるので、名簿に撮影年月の列を足して、年1回まとめて見る運用にしておきます。
保存は退職の日から1年間です。かなり短い部類で、同じ人の労働者名簿(5年・当分の間3年)とは大きく違います。2つを1枚にまとめると短いほうに引きずられるので、別々に持ちます。
書類ごとに保存期間が違うため、書類名・根拠・保存期間・起算日の4列の一覧を営業所に貼っておくのが実務的です。
名簿を触るきっかけは3つに絞れます。警備業務に就かせるとき、年1回の写真の点検、退職・異動のとき。このうち写真の点検だけは誰も知らせてくれないので、年1回の日を決めておきます。
記載事項と保存期間は警備業法施行規則で定められています。自社の扱いは、営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に確認してください。