勤怠と労務書き方2026.05.06 公開KK-39

年少者就労報告書とは?18歳未満を入れる前に

目次

高校を出たばかりの人を採用した。まだ18歳になっていない。現場に入れる段になって「年少者就労報告書を出してください」と言われ、そこで初めて、年少者には別の決まりがあることを知る。実際によくある形です。

この記事では、年少者就労報告書を、何のための書類か・その前に必要な手続き・就かせられない作業の3つに分けて整理します。読み終えたときに、18歳未満の人を受け入れる手順を組める状態を目指します。

高齢者の側を先に確かめたい方は、こちらもあわせてご覧ください。→ 高齢者就労報告書

結論:報告書は現場の書類。法令の義務はその手前にある

年少者就労報告書とは、18歳未満の作業員を現場に入れるときに、元請へ提出する書類のことです。高齢者就労報告書と同じく、法令で様式が定められたものではありません。

ただし、年少者については法令の側にはっきりした決まりがあります。労働基準法で、年齢を証明する書面を事業場に備えることや、深夜業の制限、就かせてはならない業務が定められています。

ポイントはここです。報告書を書くことより、法令の要件を満たすことのほうが先です。報告書が求められていない現場でも、法令の義務はかかります。

法令の義務が先にある年齢の証明事業場に備え付ける就業の制限就かせられない業務現場の報告書元請が求めるもの
法令で決まっている義務と、現場が求める報告書の関係を示した層の図

つまり、報告書は「法令の要件を満たしていることを、現場に示す紙」という位置づけになります。手前の手続きが済んでいないと、書く内容がありません。

まず年齢を証明する書面を備える

18歳未満の人を使用するときは、年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けることが求められているとされています。

使われるのは、住民票記載事項証明書などです。本人に用意してもらい、事業場に置きます。本社にまとめて置くのではなく、その人が働く事業場に備えるのが原則の形です。

年齢を証明する書面の置き場所事業場に備える本人が用意する名簿の生年月日両方でそろう年齢の証明
年齢を証明する書面をどこに置くかを示した図

これは法定の義務なので、報告書が求められない現場で働く場合でも必要です。採用の手続きの中に入れておくと、後から集める作業が要りません。

労働者名簿にも生年月日が入ります。名簿と証明書の両方がそろって初めて、年齢の確認ができている状態になります。

就かせてはならない業務がある

年少者には、就かせてはならない業務が定められています。現場の仕事には、該当するものが多く含まれます。

挙げられているものの例を並べます。クレーンの運転、玉掛け(補助を除く)、動力による土木建築用機械の運転、2メートル以上の高さで墜落のおそれのある場所での業務、足場の組立てや解体の業務、重量物を取り扱う業務。

就かせられない主な業務業務内容クレーンの運転玉掛けも補助を除き対象土木建築用機械の運転動力によるもの高さ2m以上墜落のおそれのある場所重量物年齢と性別ごとに上限
年少者に就かせられない業務の主なものを並べた表

重量物には、年齢と性別ごとの重さの上限が定められています。断続的に扱う場合と継続して扱う場合でも数字が変わります。実際の作業でどれくらいの重さを扱うかを確かめてから配置します。

該当するかどうかの判断に迷う業務があります。「補助なら大丈夫か」「見学ならよいか」といった問いは、実態で判断されます。所轄の労働基準監督署に作業の内容を示して確かめるのが確実です。

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作業員の名簿や健康の管理に使えるExcelの様式が、点検板のテンプレートのページにあります。この記事は年少者の決まりの側の話です。

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深夜業と労働時間の制限

年少者には、労働時間の面でも制限があります。

深夜業。原則として午後10時から午前5時までの間に使用してはならないとされています。交替制で働かせる場合などに例外がありますが、まず原則は使えないと考えます。

時間外労働と休日労働。36協定を結んでいても、年少者には原則として時間外労働や休日労働をさせられないとされています。

変形労働時間制。原則として適用できないとされています。1年単位の変形労働時間制を取っている会社では、年少者だけ別の扱いになります。

時間の3つの制限制限内容深夜業22時から5時は原則不可時間外・休日36協定があっても原則不可変形労働時間制原則として適用できない共通シフトを組む人に先に伝える
深夜業・時間外・変形労働時間制という3つの制限を並べた表

シフトを組む人がこれを知らないと、知らないうちに違反になります。採用の段階で、配置と勤怠の担当に「18歳未満の人がいる」と伝える形にしておきます。

報告書に書くこと

現場が求める報告書の様式は、高齢者のものと似た作りになっています。書く欄はおおむね次のとおりです。

氏名・生年月日・年齢。年齢を証明する書面の有無。所属と職種。就業させる作業の内容。健康診断の受診日。深夜業や時間外労働をさせないことの確認。保護者の同意。

高齢者の報告書と違う欄年少者で加わるもの年齢の証明書面の有無を書く保護者の同意様式にあることが多い深夜・時間外させないことの確認作業の内容制限に当たらないと読める形
年少者の報告書で、高齢者のものと違う欄を並べた表

高齢者の報告書と違うのは、年齢を証明する書面と、保護者の同意の2つです。ここが空だと差し戻されます。

作業の内容の欄は、就かせてはならない業務に当たらないことが読み取れる形で書きます。「作業員」とだけ書くと、確かめようがありません。

受け入れの手順を決めておく

18歳未満の人を採用する機会は多くありません。だからこそ、手順を1枚にしておくと迷いません。

手順は5つです。年齢を証明する書面をもらう、労働者名簿に生年月日を入れる、就かせる作業を洗い出して制限に当たらないか確かめる、勤怠の担当に深夜・時間外の制限を伝える、現場の報告書を書いて出す。

採用から入場までの5つ1年齢の証明本人に用意してもらう2名簿に入れ生年月日を記載3作業を洗い出す制限に当たらないか4勤怠へ伝え深夜と時間外の制限
採用から現場入場までの5つの手順を並べたフロー

この順番で進めると、報告書を書く段階では材料がそろっています。逆に、報告書から入ると、年齢の証明も作業の確認も後追いになります。

18歳の誕生日を迎えたら、制限が外れます。誕生日を管理表に入れておくと、配置の幅を広げられる時期が分かります。

受け入れる側になったとき

自社が元請のとき、年少者の報告書を受け取る側になります。見るところは3つです。

1つ目は、年齢を証明する書面があるかです。下請の事業場に備えるものなので、報告書の欄で「有」となっていることを確かめます。

2つ目は、就かせる作業が制限に当たらないかです。書かれている作業の内容を読んで、高所や玉掛け、重量物が含まれていないかを見ます。「作業員」とだけ書かれた報告書は、そのままでは判断できません。

3つ目は、時間の制限です。その現場の作業が深夜に及ぶなら、そもそも入れられません。早朝から始まる現場も、午前5時より前は制限にかかります。

受け入れたあとは、職長と送り出し教育の担当に伝えます。現場で作業を振る人が知らないと、制限のある作業を頼んでしまいます。

教育と配置で気をつけること

年少者は、経験が浅いことが多くあります。制限に当たらない作業でも、配慮が要る場面があります。

1つ目は、送り出し教育と新規入場者教育を丁寧に行うことです。危険の予測ができないことを前提に、具体的な場面で伝えます。

2つ目は、単独で作業させないことです。制限に当たらない作業でも、慣れるまでは誰かと組ませる形にしておきます。

3つ目は、体調と申告のしやすさです。年齢が離れていると、疲れや不調を言い出しにくくなります。声をかける相手をあらかじめ決めておくと、伝わりやすくなります。

この3つは法令の義務ではありませんが、事故が起きたときに「配慮していたか」を問われるところです。記録に残しておくと、後から示せます。

18歳になるまでの管理

年少者の制限は、誕生日を境に外れます。管理表に誕生日を入れておくと、いつから配置を広げられるかが分かります。

見ておくのは3つです。制限が外れる日、その時点で就かせたい作業、その作業に要る資格や教育。

18歳になったからといって、すぐにすべての作業ができるわけではありません。技能講習や特別教育が別に要る作業があります。誕生日の前に受講の段取りをしておくと、切り替えが早く済みます。

あわせて、年少者のうちに受けさせられる教育もあります。作業そのものに就けなくても、座学や見学の範囲で伝えられることがあります。制限の範囲を確かめたうえで組みます。

年少者を採用する機会が少ない会社ほど、この管理が属人的になります。採用の手続きの中に1行入れておくのが、いちばん確実な形です。

採用の前に確かめること

18歳未満の人を採用するかどうかを決める前に、確かめておくことがあります。

1つ目は、その人に任せたい作業が制限に当たらないかです。当たるなら、18歳になるまでその作業には就けません。採用の目的が果たせないことがあります。

2つ目は、勤務の時間帯です。深夜の時間帯に働く職場では、そもそも配置できません。

3つ目は、教育の体制です。経験の浅い人を受け入れる準備があるか。単独で作業させない形が組めるか。

この3つを確かめてから採用の判断をすると、入社してから「任せられる仕事がない」という形を避けられます。採用の段階で配置まで決めておくのが要点です。

まとめ

年少者就労報告書は、元請が求める現場の書類です。法令で様式が定められたものではありません。ただし、年少者については法令の側に決まりがあり、そちらのほうが先にあります。

18歳未満の人を使用するときは、年齢を証明する書面を事業場に備えることが求められます。労働者名簿の生年月日と両方そろって、確認ができている状態になります。

就かせてはならない業務が定められています。クレーンの運転、玉掛け、高所での業務、足場の組立てや解体、重量物の取り扱いなどです。重量物には年齢と性別ごとの上限があります。

深夜業、時間外労働、休日労働、変形労働時間制にも制限があります。シフトを組む人に伝わっていないと、知らないうちに違反になります。自社の作業が制限に当たるかは、所轄の労働基準監督署に確かめるのが確実です。

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実際に使える様式が必要な方へ

作業員の名簿や健康の管理に使えるExcelの様式が、点検板のテンプレートのページにあります。生年月日の列から、制限が外れる日も見られます。

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よくある質問

Q. 年齢を証明する書面は、免許証の写しでもよいですか。 A. 求められているのは年齢を証明する戸籍証明書とされています。住民票記載事項証明書などが使われます。本人に用意してもらうものなので、採用の連絡のときに伝えておくと早く済みます。

Q. 18歳未満でも、技能講習は受けられますか。 A. 受講できる年齢に制限があるものがあります。また、修了しても18歳未満は就かせてはならない業務に当たる場合、その作業には就けません。資格の有無と、年齢による制限は別です。

Q. 高校生のアルバイトにも同じ決まりがかかりますか。 A. 18歳未満であれば同じです。深夜業の制限や、就かせてはならない業務の定めがかかります。学業との関係で、さらに時間の制限がかかる場合もあります。

Q. 保護者の同意は法令で必要ですか。 A. 報告書の欄として求められることはありますが、法令で一律に同意書が必要とされているわけではありません。ただし、未成年者の労働契約については保護者に関わる定めがあるため、扱いは慎重に決めます。

Q. 18歳の誕生日を迎えたら、すぐに制限が外れますか。 A. 年少者としての制限は外れますが、満18歳未満を対象とする定めと、満20歳未満を対象とする定めが別にある場合があります。自社に関わるものを確かめておきます。

Q. 報告書を出せば、制限のある作業もできますか。 A. できません。報告書は現場に知らせるための書類で、法令の制限を外すものではありません。就かせてはならない業務は、報告書の有無に関わらず就かせられません。

Q. 見学や研修として現場に入れる場合はどうですか。 A. 実際に作業をしないとしても、現場に立ち入る以上、安全の管理の対象になります。元請の手続きに従うことになります。作業をさせる形になっていないかは、実態で判断されます。

Q. 年少者を採用したことを、どこかに届け出ますか。 A. 採用そのものを届け出る手続きは一般にありません。事業場に年齢を証明する書面を備えることと、労働者名簿に記載することが求められます。備えていないこと自体が指摘の対象になります。

Q. 年少者の労働時間は、1日何時間までですか。 A. 労働基準法の原則である1日8時間・1週40時間の枠がかかり、時間外労働は原則としてさせられません。変形労働時間制も原則として適用できません。シフトを組む人に、この3点を先に伝えます。

Q. 学校に通っている人の場合、さらに制限がありますか。 A. 満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終わるまでの人については、別の定めがあります。中学生を使用する場合は、所轄の労働基準監督署に確かめるのが確実です。

Q. 18歳未満であることを、どの書類で確かめますか。 A. 年齢を証明する戸籍証明書です。労働者名簿の生年月日は自己申告で書くものなので、それだけでは確かめたことになりません。両方をそろえるのが求められる形です。