法定調書合計表|全員分と提出分の2段で書く
目次
法定調書合計表は、1月の提出物の表紙にあたる書類です。1枚しかないのに、書き方でいちばん時間を取られます。数字を2段で書く欄があり、どちらに何を入れるかで手が止まるからです。
この記事では、法定調書合計表を、何をまとめる表か・数字を2段で書く意味・出す前の突き合わせの3つに分けて整理します。読み終えたときに、賃金台帳から合計表までを1本でつなげられる状態を目指します。
結論:6種類の調書を束ねる表紙
法定調書合計表とは、税務署へ出す法定調書をまとめて集計した表のことです。正式には、給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表と呼ばれます。
束ねる調書は6種類です。給与所得の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票、報酬・料金等の支払調書、不動産の使用料等の支払調書、不動産等の譲受けの対価の支払調書、不動産等の売買または貸付けのあっせん手数料の支払調書。
ポイントはここです。合計表は1枚ですが、中の欄は種類ごとに分かれています。自社で発生していない種類の欄は、空のままで構いません。
提出の期限は、翌年の1月31日までとされています。提出先は所轄の税務署です。個々の調書だけを出すことはできず、合計表を表紙として一緒に出します。
一般には、給与計算や会計のソフトが合計表の数字を作ります。それでも中身を知っておく価値があります。数字が合わないときに、どこを見ればよいかが分かるからです。
2段で書くとはどういうことか
法定調書合計表でいちばん引っかかるのが、同じ項目に数字を2回書くところです。
給与所得の源泉徴収票の欄を例にします。ここには支払った全員の人数・支払金額・源泉徴収税額を書きます。その下に、うち源泉徴収票を提出するものの人数・支払金額・源泉徴収税額を書く欄があります。
上の段は全員分、下の段は税務署へ調書を出す人の分だけ。下の段は、上の段の内数です。
ここを取り違えると、数字が合いません。上の段に提出する人の分だけを書いてしまうのがいちばん多い間違いです。年間の給与総額が実際より小さくなり、賃金台帳と合わなくなります。
考え方を1行でいうと、上は会社が払った実績、下は税務署へ知らせる範囲です。払った実績は全部書き、そのうち基準を超えた人の分だけを調書にして添える、という構造になっています。
報酬・料金の欄も同じ形です。払った先の全部の金額を上に書き、金額の線を超えて調書を出す先の分を下に書きます。
源泉徴収票を提出する人の基準
下の段に入るのは、税務署へ源泉徴収票を出す人です。全員ではありません。ここが給与支払報告書との違いになります。
基準は、年末調整をしたかどうかと、立場と金額の組み合わせで決まります。
年末調整をした人では、給与の支払金額が一定の額を超える人が対象になります。法人の役員かどうかで線が変わります。
年末調整をしていない人では、別の基準が示されています。扶養控除等申告書を出している人と出していない人でも分かれます。
その年の基準は、国税庁の手引きで確かめます。金額の線は見直されることがあるので、毎年同じと決めつけません。
ここで大事なのは、市区町村へ出す給与支払報告書は原則として全員分だということです。税務署へ出す源泉徴収票は基準を超えた人だけ。同じ内容の紙なのに、出す範囲が違います。
社内では、この2つを混同しないための一覧を作っておくと安全です。従業員ごとに、市区町村へ出す先、税務署へ出すかどうかを並べておきます。
賃金台帳と突き合わせる
法定調書合計表の数字は、新しく作るものではありません。賃金台帳の年間の合計と一致するはずのものです。
突き合わせるのは3つです。
1つ目は、人数です。その年に給与を支払った人の数。年の途中で辞めた人を数え忘れるのが起きやすいところです。
2つ目は、支払金額です。年間に支払った給与の総額。賃金台帳の年計と合わせます。
3つ目は、源泉徴収税額です。年間に差し引いた所得税の総額。納付書の年間の合計とも合うはずです。
この3つが合わないときは、どこかで人が抜けているか、月が抜けています。よくあるのは、年の途中で入社して年内に辞めた人、賞与だけを支払った人、役員報酬を別の帳簿で管理している場合です。
突き合わせは、12月のうちに一度やっておくと楽になります。年末調整の作業と同じ材料を使うので、続けてやると二度手間になりません。
合わない差額が小さいときほど、原因を探すのに時間がかかります。先に人数を合わせてから金額を見ると、範囲が絞れます。
人数が合ったうえで金額だけがずれている場合は、月ごとの合計を並べて、どの月でずれたかを見ます。12か月のうち1つに絞れれば、あとはその月の賃金台帳を見るだけです。全体を一度に照らし合わせるより、はるかに早く終わります。
差が出やすいのは、賞与の月と、年末調整で精算した月です。この2つを先に見て合っていれば、残りの月は機械的な集計の問題であることが多くなります。
1月に動く紙を整理する
法定調書合計表は、1月の提出物の一部です。ここで混乱が起きるのは、同じ内容の紙が3か所に行くからです。
行き先で分けると分かりやすくなります。
税務署へは、法定調書合計表と、基準を超えた人の源泉徴収票、金額の線を超えた先の支払調書。
市区町村へは、給与支払報告書。従業員が住む市区町村ごとに分かれます。
本人へは、給与の源泉徴収票。こちらは全員に渡します。
本人に渡す源泉徴収票は全員分、税務署へ出すのは基準を超えた人だけ。ここが毎年混ざります。行き先ごとに「誰の分か」を先に決めておくと、迷いが消えます。
電子で提出する方法もあります。提出する枚数が一定以上になる場合は、電子での提出が求められるとされていて、その枚数の基準は見直されています。自社が対象になるかは、提出する年の基準を所轄の税務署に確かめます。
紙で出す場合は、合計表が一番上、その下に調書を種類ごとにまとめる形になります。仕分けを先にしておくと、封入のときに数え直さずに済みます。
控えの取り方も決めておきます。提出したものと同じ内容を、こちらにも1部残します。翌年、去年と同じ判断をしたかどうかを確かめるときに、この控えがいちばん早い材料になります。
出さない年も、欄を空けて出すか
自社で該当する調書が1種類しか無い年もあります。そのときに迷うのが、他の欄をどうするかです。
考え方は単純です。発生していない種類は、書きません。空欄のままにします。無理に0を書く必要はありません。
ただし、発生しているのに書き忘れるのとは違います。不動産の使用料のように、支払っている部署が経理でない種類は、発生していても気づきにくくなります。
見落としを防ぐには、年末に種類ごとの確認を1回入れるのが効きます。事務所の賃料を払っているか、外部の個人に報酬を払っているか、不動産を買ったか。5分の確認で足ります。
該当が無いことを確かめた記録も残しておくと、翌年の担当者が同じ確認をできます。無かったことを、無かったと書いておくのが引き継ぎになります。
確認する先は、部署ごとに分かれます。事務所や駐車場の契約は総務、外部への報酬は各部門、不動産の売買は経営の判断。経理だけで確かめきれないところがあります。
だからこそ、確認は質問の形にしておくと通ります。今年、外部の個人に報酬を払いましたか。この1行を各部署に投げるだけで、拾えるものが増えます。難しい言葉で聞くと、答えが返ってきません。
拾ったものは、そのまま翌年の一覧の材料になります。去年あって今年無いもの、今年から増えたもの。差だけを見れば、確認にかかる時間は年々短くなります。
1年の段取りにする
法定調書合計表は、1月に集中する仕事の出口です。12月までに材料がそろっていれば、1月は集計だけになります。
決めるのは5つです。
1つ目は、支払先の情報を集める時期です。外部への報酬があるなら、契約したときに住所・氏名・番号を受け取る流れにします。
2つ目は、種類の判定です。支払いのたびに、どの調書の種類にあたるかを付けておきます。
3つ目は、12月の突き合わせです。賃金台帳の年計、納付書の合計、支払先ごとの年間金額。
4つ目は、提出の方法です。電子か紙か。電子なら準備が要ります。
5つ目は、控えの保管です。提出した合計表と調書の控えを、どこにどれだけ残すか。
この5つを1枚にまとめておくと、1月の作業が短くなります。毎年ここで残業が出ている会社ほど、効果が大きくなります。
まとめ
法定調書合計表は、税務署へ出す6種類の法定調書を束ねる表紙です。提出の期限は翌年1月31日までで、提出先は所轄の税務署です。
いちばん迷うのは、同じ項目を2段で書くところです。上の段は支払った全員分、下の段はそのうち調書を提出する分。下は上の内数という関係を押さえると、数字が崩れません。
税務署へ源泉徴収票を出す人の基準は、年末調整の有無と立場と金額で決まります。市区町村へ出す給与支払報告書は原則として全員分なので、範囲が違います。
数字は賃金台帳の年計、納付書の合計と突き合わせます。人数を先に合わせてから金額を見ると、原因が絞れます。自社の取扱いは、所轄の税務署や税理士などの専門家に確かめるのが確実です。
よくある質問
Q. 法定調書合計表だけを出せますか。 A. 合計表は表紙にあたるものです。該当する調書と一緒に出します。調書が無い種類の欄は空欄で構いません。
Q. 上の段と下の段は、どちらが全員分ですか。 A. 上が全員分です。下は、そのうち税務署へ調書を提出する分だけの内数になります。
Q. 上の段に、提出する人の分だけを書いてしまいました。 A. よくある間違いです。年間の支払総額が実際より小さくなります。賃金台帳の年計と合っているかを確かめると気づけます。
Q. 源泉徴収票を税務署へ出す基準はいくらですか。 A. 年末調整の有無、法人の役員かどうか、金額の組み合わせで決まります。その年の基準は国税庁の手引きで確かめます。
Q. 本人に渡す源泉徴収票も基準がありますか。 A. 本人へは全員に渡します。税務署へ出す基準とは別です。ここが毎年混ざるところです。
Q. 該当する調書が1種類もありません。 A. 給与を支払っていれば、給与所得の欄は書くことになります。該当が無いかどうかを年末に1回確かめるのが確実です。
Q. 期限はいつですか。 A. 翌年の1月31日までとされています。市区町村へ出す給与支払報告書と同じ時期なので、1月は行き先の違う紙が同時に動きます。先に仕分けを決めておきます。
Q. 数字が合いません。どこから見ますか。 A. 先に人数を合わせます。年の途中で辞めた人、賞与だけの人、役員報酬を別で管理している場合が原因になりやすい形です。
Q. 納付書の合計とも合いますか。 A. 年間に差し引いた所得税の総額なので、合うはずのものです。合わない場合は納付の月が抜けていないかを見ます。
Q. 電子で出す必要がありますか。 A. 提出する枚数が一定以上になる場合は、電子での提出が求められるとされています。枚数の基準は見直されているので、提出する年の基準を確かめます。
Q. 出した後に間違いが見つかりました。 A. 所轄の税務署に相談して、訂正したものを提出します。気づいた時点で連絡するほうが影響が小さくなります。
Q. 控えはどのくらい残しますか。 A. 提出した合計表と調書の控えを、他の税務の書類と同じ年数で残す形が扱いやすくなります。保存の年数は書類の種類ごとに決まっているので、一覧を1枚持っておくと判断が要りません。
Q. 紙で出すとき、並べる順番はありますか。 A. 合計表を一番上にして、その下に調書を種類ごとにまとめます。先に仕分けておくと、封入のときに数え直さずに済みます。
Q. 退職した人の分はどこに入りますか。 A. その年に給与を支払っていれば、給与所得の欄に入ります。退職金を支払っていれば、退職所得の欄にも入ります。両方ある人は二重に数えないように、欄ごとに分けて集計します。
Q. 役員報酬は別に書きますか。 A. 給与として支払っていれば給与所得の欄に入ります。税務署へ源泉徴収票を出す基準が役員では違うので、下の段の判断で分かれます。
Q. 支払調書の対象になる先が1件だけです。 A. 1件でも、金額の線を超えていれば調書を作り、合計表に書きます。件数の多さは関係ありません。
Q. 不動産の使用料の欄を毎年空欄にしています。 A. 事務所や駐車場の賃料を払っていれば、対象になる形があります。支払っている部署が経理でないことが多いので、年末に一度確かめます。
Q. 給与支払報告書の人数と、合計表の人数が違います。 A. 違って当然の場合があります。市区町村へは原則として全員分、税務署へ出す源泉徴収票は基準を超えた人だけです。上の段の全員分の人数は、両方でそろうはずです。