スキャナ保存の解像度|200dpiと階調の決まり
目次
複合機でスキャンして保存すればよい、と思って始めたところ、解像度の決まりがあると分かった。設定画面を開いても、dpiの数字が並ぶだけで、どれを選べばよいのか分かりません。
この記事では、スキャナ保存の解像度を、決まっている数字・確かめ方・現場での設定の3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の複合機の設定を決められる状態を目指します。
結論:200dpi以上、赤・緑・青それぞれ256階調以上
スキャナ保存の解像度とは、紙を読み取って電子で保存するときに求められる、画像の細かさの条件のことです。
一般には、解像度200dpi以上で読み取ることと、赤・緑・青それぞれ256階調(24ビットカラー)以上で読み取ることが求められているとされています。
ポイントはここです。数字が2つあります。細かさ(dpi)だけでなく、色の階調も条件に入っています。白黒(グレースケール)で読み取ると、階調の条件を満たさない場合があります。
複合機の設定では、「カラー」と「200dpi以上」を選ぶ形になります。既定が白黒150dpiになっている機種があるため、設定を確かめずに始めると全部やり直しになります。
一般書類には緩和がある
書類の重要度によって、条件が変わる場合があります。
重要書類は、契約書、領収書、請求書、納品書など、資金や物の流れに直結するものです。ここは原則どおりの条件になります。
一般書類は、見積書、注文書、検収書など、資金や物の流れに直結しないものです。こちらは、グレースケールでの読み取りが認められる場合があるとされています。
ただし、分けて運用するほうが手間が増えることがあります。書類ごとに設定を変えるより、全部カラー200dpiで統一するほうが、現場では間違いが起きません。
判断に迷う書類があれば、顧問の税理士に確かめます。区分を誤ると、要件を満たしていない保存になります。
読み取った後に確かめること
設定を決めたら、実際に読み取ったファイルが条件を満たしているかを確かめます。
確かめ方は、ファイルのプロパティを見る方法です。画像の情報として、解像度と色の深さが記録されています。
複合機の設定が200dpiでも、保存の形式によっては圧縮されて情報が落ちることがあります。設定だけでなく、出てきたファイルで確かめるのが確実です。
もう1つ確かめるのが、大きさが分かるかどうかです。A4を超える書類については、大きさに関する情報を保存することが求められる場合があります。読み取る前に、用紙のサイズを確かめます。
ファイルの形式と容量
形式に決まりはありませんが、実務ではPDFが多く使われます。画像のまま保存する形も取れます。
カラー200dpiで読み取ると、1枚あたりの容量が大きくなります。A4の1枚で数百キロバイトから数メガバイトになることがあります。
枚数が多い会社では、保存の場所の容量を先に見積もります。月に1,000枚なら、年間で数ギガバイトになることがあります。
圧縮して容量を減らすと、条件を満たさなくなることがあります。読みやすさを優先して圧縮率を上げる設定は避けます。
スマートフォンで撮る場合
複合機ではなく、スマートフォンのカメラで撮る形も取れます。要件を満たせば、機器の種類は問われません。
確かめるのは、撮った画像が200dpi相当の細かさになっているかです。撮影の距離や解像度の設定で変わります。書類全体が入る形で、文字がはっきり読めることが目安になります。
スマートフォンで撮る場合、傾きや影が問題になりやすくなります。文字が読めない部分があると、後から確認できません。専用のアプリを使うと、傾きの補正が入るものがあります。
経費精算のサービスには、スマートフォンで撮って送る仕組みが入っているものがあります。サービス側が要件を満たす形で処理するなら、そちらを使うほうが確実です。
現場で決めておくこと
設定を決めたら、現場で迷わないように4つを決めます。
1つ目は、複合機の初期設定です。カラー200dpi以上を既定にします。誰が使っても同じ設定になる形にします。
2つ目は、読み取る人です。受け取った人が読み取るのか、経理でまとめて読み取るのか。入力の期間の要件に関わります。
3つ目は、ファイル名の付け方です。検索の要件を満たすために、日付・取引先・金額を入れる規則を決めます。
4つ目は、原本をいつ捨てるかです。読み取って要件を満たして保存できたことを確かめてから処分します。
この4つを1枚に書いて、複合機のそばに貼っておくと、担当が代わっても続きます。
読み取りの作業を回す形にする
条件を満たす設定を決めても、作業が回らなければ続きません。回す形にするための工夫が3つあります。
1つ目は、受け取った場所で読み取ることです。現場で受け取った領収書を事務所まで持ち帰ってから読み取ると、入力の期間が長くなります。スマートフォンで撮って送る仕組みがあれば、その場で済みます。
2つ目は、まとめて読み取る日を決めることです。毎日やるより、週に1回まとめるほうが続く会社があります。ただし、入力の期間の要件に収まる頻度にします。
3つ目は、読み取った後の確認を1人に任せないことです。解像度の設定、ファイル名、原本の処分。手順書を1枚置いて、誰でもできる形にします。
読み取りが溜まると、期間の要件に間に合わなくなります。溜まっていることに気づく仕組みとして、未処理の原本を入れる箱を1つ決めておくと分かりやすくなります。
電子取引との切り分け
スキャナ保存と電子取引は、混ざりやすいところです。切り分けの基準は1つだけです。
どう受け取ったかで決まります。紙で受け取ったならスキャナ保存、電子で受け取ったなら電子取引データ保存です。
同じ取引先から、月によって紙とメールが混ざることがあります。受け取った形ごとに扱いが変わるので、届いた時点で分けます。
分け方を決めておかないと、電子で受け取ったものを印刷してスキャンする、という無駄な作業が生まれます。印刷してスキャンしても、電子取引の要件は満たしません。元のデータを残す必要があります。
フォルダを2つに分けて、受け取った形ごとに入れる形にしておくと、要件の確認も分けて行えます。
まとめ
スキャナ保存の解像度は、200dpi以上、赤・緑・青それぞれ256階調以上とされています。細かさと色の階調の2つの条件があります。
複合機の既定が白黒150dpiになっている機種があります。設定を確かめずに始めると、全部やり直しになります。カラー200dpi以上を既定にします。
一般書類にはグレースケールが認められる場合がありますが、書類ごとに設定を変えるより、全部カラーで統一するほうが現場では間違いが起きません。
読み取った後は、ファイルのプロパティで解像度と色の深さを確かめます。圧縮の設定によっては情報が落ちることがあります。自社の区分や設定に迷う点は、顧問の税理士に確かめるのが確実です。
よくある質問
Q. 300dpiで読み取っても問題ありませんか。 A. 200dpi以上が条件なので、300dpiでも満たします。ただし容量が増えます。文字が読めれば足りるので、200dpiか300dpiで運用している会社が多くあります。
Q. 白黒でスキャンしたものは使えませんか。 A. 重要書類については、カラーでの読み取りが求められる形です。すでに白黒で読み取ってしまったものは、原本が残っているなら読み直します。原本を捨てていると、やり直せません。
Q. 原本はいつ捨てられますか。 A. 要件を満たして保存できていることを確かめた後です。入力の期間の要件を満たし、タイムスタンプなどの条件も満たしてから処分します。確かめる前に捨てると、両方が無くなります。
Q. 感熱紙のレシートはどうしますか。 A. 時間が経つと文字が消えるため、早めに読み取るほうが安全です。消えかけたものを読み取っても、後から確認できません。受け取ったらすぐ読み取る運用にしておきます。
Q. A3の図面も同じ条件ですか。 A. 解像度と階調の条件は同じです。大きさに関する情報の保存が求められる場合があるため、用紙のサイズが分かる形にしておきます。
Q. 両面の書類はどう扱いますか。 A. 裏面にも取引の情報があるなら、両面を読み取ります。裏面が白紙なら片面で足ります。裏面に振込先が書いてあるような書類を片面だけ読み取ると、情報が欠けます。
Q. ホチキスで留めた複数枚の書類は。 A. 全部のページを読み取ります。1つのファイルにまとめるか、ページごとに分けるかは自社で決めます。まとめるほうが、後から探すときに扱いやすくなります。
Q. 解像度の条件を満たしているかを、まとめて確かめられますか。 A. ファイルの情報を一覧で出せるツールを使う方法があります。枚数が多い会社では、月に1回、抜き取りで確かめる形にしている例もあります。全部を毎回見る必要はありませんが、設定を変えた直後は確かめます。
Q. 原本を捨てる前に、誰かが確認する形にすべきですか。 A. 読み取った人とは別の人が確かめる形にすると、抜けが減ります。人数が少ない会社では、捨てる前に1週間置くといった時間の余裕で代える方法もあります。
Q. 読み取ったファイルは、どこに保存しますか。 A. 電子取引のデータと同じ場所にまとめると、探すときに1か所で済みます。ただし、スキャナ保存と電子取引は区分が違うため、フォルダを分けておくと、要件の確認がしやすくなります。
Q. 電子で受け取ったものを印刷して保存してはいけないのですか。 A. データを残したうえで印刷するのは問題ありません。印刷した紙だけを残してデータを消すのが認められない形です。見やすさのために紙も持つ会社は多くあります。
Q. 名刺やパンフレットもスキャナ保存の対象ですか。 A. 国税関係書類に当たるものが対象です。名刺やパンフレットは、取引に関する書類ではないため対象外になります。何が対象かを先に決めると、読み取る量が減ります。
Q. 領収書が小さくて、読み取りにくい場合は。 A. A4の台紙に貼ってからまとめて読み取る方法が取られます。1枚に複数を貼る場合、後から探せるようにファイル名や索引の付け方を決めておきます。
Q. 読み取った後、ファイルが開けなくなっていたらどうしますか。 A. 保存できていないのと同じ状態です。原本が残っているなら読み直します。定期的に、過去のファイルが開けるかを抜き取りで確かめると、早く気づけます。
Q. カラーで読み取ると容量が大きくなりすぎる場合は。 A. 保存の場所を増やすか、年ごとにファイルを分けて古い分を別の場所へ移します。圧縮して条件を外すのは避けます。条件を満たさない保存になると、読み取った意味が無くなります。
Q. 読み取りの担当を経理以外にしてもよいですか。 A. 誰が行うかの決まりはありません。受け取った人が読み取るほうが、入力の期間の要件に収まりやすくなります。手順書を1枚置いておけば、誰でも同じ形でできます。
Q. 複合機を買い替えたら、設定を確かめ直しますか。 A. 確かめます。既定の設定は機種によって違います。買い替えの直後は、実際に読み取ったファイルのプロパティで、解像度と色の深さを見ておきます。
Q. 読み取った日と受け取った日が違う場合、どちらを記録しますか。 A. 入力の期間の要件に関わるため、受け取った日と読み取った日の両方が分かる形にしておきます。ファイル名や索引に受領日を入れておくと、後から確かめられます。
Q. スキャナ保存を始めたら、紙は全部捨てられますか。 A. 要件を満たして保存できたものは処分できます。ただし、契約書の原本のように、別の理由で保管し続けるものがあります。税務以外の理由で残すものを先に決めておきます。
Q. 読み取りを外部に委託できますか。 A. 委託する形も取れます。ただし、保存の義務は事業者にあります。委託先が要件を満たす形で読み取っているか、データをどう受け取るかを契約で決めておきます。