勤怠と労務解説2026.04.14 公開KK-36

勤務形態一覧表とは?介護と障害福祉の書式

目次

指定の申請で「勤務形態一覧表を出してください」と言われた。出勤簿やシフト表なら作っているけれど、それとは別の書類らしい。様式をもらったものの、どの欄に何を書くのかが分からない。

この記事では、勤務形態一覧表を、何のための書類か・欄ごとの書き方・出勤簿との違いの3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の様式を埋められる状態を目指します。

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結論:人員の基準を満たしていることを示す書類

勤務形態一覧表とは、事業所の職員が1か月にどれだけ勤務するかを職種ごとに並べ、人員の基準を満たしていることを示す書類のことです。介護保険や障害福祉のサービスの指定申請・変更届で求められることが多くあります。

労働基準法の法定帳簿ではありません。指定の基準を確かめるために、自治体が求める書類という位置づけになります。

ポイントはここです。目的は「常勤換算で何人いるか」を示すことです。誰が何時に来て何時に帰ったかを記録する出勤簿とは、見ている方向が違います。

見ているものが違う出勤簿実際に働いた時間始業と終業の時刻労働基準法の法定帳簿勤務形態一覧表職種ごとの勤務時間常勤換算で何人か人員の基準を示す書類
出勤簿と勤務形態一覧表で、見ているものが違うことを並べた比較の図

ここを取り違えると、出勤簿の数字をそのまま写して、常勤換算が合わないまま提出することになります。

常勤換算という考え方

常勤換算とは、非常勤の職員の勤務時間を、常勤の職員が何人分に当たるかに直した数のことです。

計算は単純で、その職種の職員の1か月の勤務時間の合計を、常勤職員が勤務すべき時間数で割ります。常勤が月160時間で、非常勤が合計320時間働いていれば、常勤換算で2.0人となります。

常勤換算の出し方1職種で分ける兼務は時間を割る2時間を合計する1か月ぶん3常勤の時間で割る分母は自社が定めた数
非常勤の時間を合計して常勤の時間で割る、という計算の流れの図

分母になる常勤の時間数は、事業所が定めているものです。就業規則で1日8時間・週40時間としているなら、そこから月の時間数が出ます。分母を間違えると、換算した数が丸ごとずれます。

職種ごとに分けて計算する点も要注意です。介護職員と看護職員を混ぜて数えることはできません。同じ人が複数の職種を兼ねている場合は、時間を分けて書くことになります。

欄ごとの書き方

様式は自治体によって細かく違いますが、並んでいる欄はおおむね共通しています。

職種。管理者、サービス提供責任者、看護職員、介護職員のように、指定の基準で求められている職種名で書きます。社内の呼び名ではなく、基準の言葉に合わせます。

勤務形態。常勤専従、常勤兼務、非常勤専従、非常勤兼務の4つに分けるのが一般的です。ここが間違っていると常勤換算も狂います。

氏名。その事業所で勤務する職員を並べます。

4週分の勤務時間。日ごとに勤務する時間数を入れます。休みの日は空欄か斜線です。

合計と週平均。4週の合計と、そこから出した週あたりの平均を書きます。

主な欄と間違えやすいところ間違えやすいところ職種基準の言葉に合わせる勤務形態常勤・非常勤と専従・兼務4週の勤務時間兼務は職種ごとに割る合計と週平均分母の時間数を確かめる
勤務形態一覧表の主な欄と、間違えやすいところを並べた表

兼務の人がいちばん間違えやすいところです。管理者と介護職員を兼ねている人は、それぞれの職種の行に、その職種として働く時間だけを書きます。同じ時間を両方に書くと、実際の人数より多く見えてしまいます。

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実際に使える様式が必要な方へ

労働時間の管理に使えるExcelの様式が、点検板のテンプレートのページにあります。この記事は一覧表の側の話です。

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出勤簿・シフト表との違い

似た書類が3つ並ぶので、目的で分けて覚えます。

出勤簿は、実際に働いた時間の記録です。労働基準法にもとづく法定帳簿で、始業と終業の時刻を残します。

シフト表は、これから働く予定の表です。現場の運用のために作るもので、法令で求められているものではありません。

勤務形態一覧表は、人員の基準を満たしていることを示す書類です。予定を書く形になりますが、実態と大きくずれていると問題になります。

似た3つの書類書類目的出勤簿実際に働いた時間の記録シフト表これから働く予定勤務形態一覧表人員の基準を示す共通1枚で兼ねない
出勤簿・シフト表・勤務形態一覧表の目的の違いを並べた表

3つを1つの表で兼ねようとすると、どれも中途半端になります。シフト表から勤務形態一覧表を作るのは自然ですが、出勤簿は実績なので別に持ちます。

提出する場面

出す場面は、大きく3つです。

1つ目は、指定の申請のときです。新しくサービスを始めるときに、人員の基準を満たしていることを示します。

2つ目は、変更の届出のときです。管理者が変わった、職員の体制が変わったといった場合に求められます。

3つ目は、実地指導や監査のときです。基準を満たし続けているかを確かめられます。

このうち3つ目では、過去の月の分を求められることがあります。毎月作って残しておく運用にしておくと、後からさかのぼって作る作業が要りません。

毎月作る形にする

申請のときだけ作ると、様式の書き方を毎回思い出すことになります。月ごとに作って綴じておくと、次の月は数字を入れ替えるだけで済みます。

作る手順は3つです。シフトが確定したら一覧表に写す、月が終わったら実績とのずれを確かめる、ずれが大きければ理由を書き添える。

ずれの理由は、急な欠勤、退職、採用の遅れなどです。理由が書いてあれば、基準を割った月があっても説明ができます。何も書いていないと、意図的に基準を下回っていたと見られかねません。

職員が入れ替わったときは、その月の一覧表に反映します。辞めた人の行を消さず、いつまで在籍していたかが分かる形にしておくと、後から追えます。

毎月作る形にする1シフトを写す確定したらすぐ2実績と見比べる月が終わったら3理由を書き添えるずれが大きいとき
シフトの確定・実績との突き合わせ・理由の記載という3段のフロー

基準を割りそうなときに見るところ

常勤換算が基準に届かない月が見えたら、手を打つ順番があります。

1つ目は、計算そのものを疑うことです。分母の常勤の時間数、兼務の時間の分け方、職種の当てはめ。計算の間違いで足りなく見えていることが実際にあります。

2つ目は、勤務時間の調整です。非常勤の人に月に数時間だけ多く入ってもらえば届く、という差であることがあります。

3つ目は、採用です。時間がかかるので、いちばん最後の手段になります。逆に言えば、毎月一覧表を作っていれば、採用に動く時間が取れます。

基準を割りそうなときの3つ計算を疑う分母と兼務の割り方時間を調整する月に数時間で届くことも採用する時間がかかる最後の手
計算の確認・勤務時間の調整・採用という3つの手を並べた層の図

届かないまま放置するのがいちばん避けたい形です。報酬の減算や、指定の取り消しにつながる場合があるとされています。気づいた時点で所管の窓口に相談すると、取れる手を教えてもらえることがあります。

まとめ

勤務形態一覧表は、職種ごとの勤務時間を並べて、人員の基準を満たしていることを示す書類です。労働基準法の法定帳簿ではなく、指定の基準を確かめるために自治体が求めるものです。

中心になるのは常勤換算です。その職種の勤務時間の合計を、事業所が定める常勤の時間数で割ります。分母を間違えると、換算した数が丸ごとずれます。

いちばん間違えやすいのは兼務です。同じ人の同じ時間を複数の職種に書くと、実際より人数が多く見えます。職種ごとに時間を分けて書きます。

出勤簿は実績、シフト表は予定、勤務形態一覧表は基準の証明です。目的が違うので、1つの表で兼ねません。様式と記入のしかたは自治体によって違うため、所管の窓口で確かめるのが確実です。

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実際に使える様式が必要な方へ

労働時間の管理に使えるExcelの様式が、点検板のテンプレートのページにあります。月ごとの時間を集計してから一覧表に写す形で使えます。

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よくある質問

Q. 常勤の時間数は、どこで決まりますか。 A. 事業所が就業規則などで定めている、常勤の職員が勤務すべき時間数です。週40時間としているなら、月の日数から時間数を出します。自治体によっては下限が示されていることがあるため、様式の注記を確かめます。

Q. 産休や育休の職員は、どう書きますか。 A. 勤務していない期間は時間が入りません。代替の職員を置いている場合は、その人の行で時間を書きます。扱いが分かれる場面があるため、所管の窓口に確かめます。

Q. 管理者が他の事業所と兼務している場合は。 A. その事業所で勤務する時間だけを書きます。兼務先の時間を含めると、実際より多く見えます。兼務が認められる範囲は基準で決まっているため、そこも合わせて確かめます。

Q. 4週ではなく1か月で書く様式もありますか。 A. 自治体によって4週の様式と暦月の様式があります。どちらの様式を使うかで、分母になる時間数の出し方も変わります。もらった様式の注記に従います。

Q. 一覧表と出勤簿がずれていたら問題になりますか。 A. 予定と実績が完全に一致することはありません。ただし、基準を満たせない月が続いていて説明が無いと問題になります。ずれた理由を残しておくのが実務的な備えです。

Q. 一覧表は何年残しますか。 A. 保存の期間は自治体の定めによります。介護保険の記録は完結の日から2年、条例で5年としている自治体があるため、それに合わせて残している事業所が多くあります。

Q. 表計算ソフトで作ってもよいですか。 A. 多くの自治体が表計算ソフトの様式を配布しています。計算式が入っているものは、常勤換算の欄を書き換えないよう注意します。提出の形式が指定されている場合は、それに従います。

Q. 職員が1人しかいない職種は、どう書きますか。 A. その1人の時間を書きます。常勤換算が基準に満たない場合、採用か勤務時間の見直しが必要になります。一覧表を作る目的は、この不足に早く気づくことでもあります。

Q. 訪問系のサービスでは、移動の時間も勤務時間に入れますか。 A. 労働時間として扱う時間は一覧表にも入るのが基本の考え方です。ただし、常勤換算の計算で何を含めるかは基準の解釈に関わるため、所管の窓口に確かめます。出勤簿と一覧表で扱いをそろえておきます。

Q. 一覧表の様式は、他の自治体のものを使ってもよいですか。 A. 提出先の自治体が配布している様式を使うのが確実です。欄の並びや4週・暦月の取り方が違うことがあります。参考にするのは自由ですが、提出は指定された様式で行います。

Q. 常勤換算が基準ちょうどの場合、余裕を持たせるべきですか。 A. ちょうどだと、1人の欠勤や退職で割ります。実務では少し余裕を持たせておく事業所が多くあります。余裕が取れない場合は、割りそうになったときに動ける段取りを先に決めておきます。

Q. 一覧表は誰が作るのがよいですか。 A. シフトを組む人が作るのがいちばん早く、総務が確かめる形にすると計算の間違いが減ります。1人に任せきりにすると、その人が休んだ月に止まります。

Q. 常勤換算の端数はどう扱いますか。 A. 小数第何位まで見るかは自治体の案内によります。切り上げか切り捨てかでも結果が変わるため、提出先の様式の注記を確かめます。自己流で丸めると、基準を満たしているつもりで満たしていないことが起きます。

Q. 一覧表を作ると、他にどんなことが分かりますか。 A. 職種ごとの時間の偏りが見えます。特定の人に時間が寄っている、特定の曜日だけ薄い、といった形が数字に出ます。人員の基準を示すだけでなく、シフトを見直す材料としても使えます。

Q. 一覧表に書く時間は、休憩を含みますか。 A. 勤務する時間として数えるのは、休憩を除いた実際に働く時間です。9時から18時で休憩1時間なら8時間になります。休憩を含めて書くと、常勤換算が実際より大きく出ます。

Q. 夜勤がある事業所では、どう書きますか。 A. 日をまたぐ勤務は、様式の注記に従って書きます。開始した日に全部の時間を入れる形と、日ごとに分ける形があります。自治体の様式によって扱いが違うので、記入例を確かめます。

Q. 常勤換算の分母は、月によって変えますか。 A. 就業規則で定めた常勤の勤務時間から出すので、月の日数によって変わる形と、固定の時間数を使う形があります。どちらを使うかは自治体の案内によります。毎月同じ考え方で出すことが大事です。

Q. 一覧表を作る時間が取れない場合は。 A. シフト表を作った時点で、職種ごとの時間を合計する列を1つ足すところから始めます。合計さえ出ていれば、一覧表への転記は数十分で終わります。ゼロから作ろうとすると手が止まります。

Q. 提出したあとに職員が辞めた場合、出し直しますか。 A. 人員の基準に影響する変更であれば、変更の届出が必要になることがあります。基準を割るかどうかが分かれ目です。割らない範囲の入れ替わりでも、社内の一覧表は更新しておきます。

Q. 一覧表と実際のシフトが違っていたと指摘されたら。 A. 予定と実績がずれること自体はあります。問われるのは、基準を満たしていない状態が続いていたかどうかです。月ごとの一覧表と、ずれた理由の記載が残っていれば、そのまま説明の材料になります。