勤務形態一覧表とは?介護と障害福祉の書式
目次
指定の申請で「勤務形態一覧表を出してください」と言われた。出勤簿やシフト表なら作っているけれど、それとは別の書類らしい。様式をもらったものの、どの欄に何を書くのかが分からない。
この記事では、勤務形態一覧表を、何のための書類か・欄ごとの書き方・出勤簿との違いの3つに分けて整理します。読み終えたときに、自社の様式を埋められる状態を目指します。
結論:人員の基準を満たしていることを示す書類
勤務形態一覧表とは、事業所の職員が1か月にどれだけ勤務するかを職種ごとに並べ、人員の基準を満たしていることを示す書類のことです。介護保険や障害福祉のサービスの指定申請・変更届で求められることが多くあります。
労働基準法の法定帳簿ではありません。指定の基準を確かめるために、自治体が求める書類という位置づけになります。
ポイントはここです。目的は「常勤換算で何人いるか」を示すことです。誰が何時に来て何時に帰ったかを記録する出勤簿とは、見ている方向が違います。
ここを取り違えると、出勤簿の数字をそのまま写して、常勤換算が合わないまま提出することになります。
常勤換算という考え方
常勤換算とは、非常勤の職員の勤務時間を、常勤の職員が何人分に当たるかに直した数のことです。
計算は単純で、その職種の職員の1か月の勤務時間の合計を、常勤職員が勤務すべき時間数で割ります。常勤が月160時間で、非常勤が合計320時間働いていれば、常勤換算で2.0人となります。
分母になる常勤の時間数は、事業所が定めているものです。就業規則で1日8時間・週40時間としているなら、そこから月の時間数が出ます。分母を間違えると、換算した数が丸ごとずれます。
職種ごとに分けて計算する点も要注意です。介護職員と看護職員を混ぜて数えることはできません。同じ人が複数の職種を兼ねている場合は、時間を分けて書くことになります。
欄ごとの書き方
様式は自治体によって細かく違いますが、並んでいる欄はおおむね共通しています。
職種。管理者、サービス提供責任者、看護職員、介護職員のように、指定の基準で求められている職種名で書きます。社内の呼び名ではなく、基準の言葉に合わせます。
勤務形態。常勤専従、常勤兼務、非常勤専従、非常勤兼務の4つに分けるのが一般的です。ここが間違っていると常勤換算も狂います。
氏名。その事業所で勤務する職員を並べます。
4週分の勤務時間。日ごとに勤務する時間数を入れます。休みの日は空欄か斜線です。
合計と週平均。4週の合計と、そこから出した週あたりの平均を書きます。
兼務の人がいちばん間違えやすいところです。管理者と介護職員を兼ねている人は、それぞれの職種の行に、その職種として働く時間だけを書きます。同じ時間を両方に書くと、実際の人数より多く見えてしまいます。
出勤簿・シフト表との違い
似た書類が3つ並ぶので、目的で分けて覚えます。
出勤簿は、実際に働いた時間の記録です。労働基準法にもとづく法定帳簿で、始業と終業の時刻を残します。
シフト表は、これから働く予定の表です。現場の運用のために作るもので、法令で求められているものではありません。
勤務形態一覧表は、人員の基準を満たしていることを示す書類です。予定を書く形になりますが、実態と大きくずれていると問題になります。
3つを1つの表で兼ねようとすると、どれも中途半端になります。シフト表から勤務形態一覧表を作るのは自然ですが、出勤簿は実績なので別に持ちます。
提出する場面
出す場面は、大きく3つです。
1つ目は、指定の申請のときです。新しくサービスを始めるときに、人員の基準を満たしていることを示します。
2つ目は、変更の届出のときです。管理者が変わった、職員の体制が変わったといった場合に求められます。
3つ目は、実地指導や監査のときです。基準を満たし続けているかを確かめられます。
このうち3つ目では、過去の月の分を求められることがあります。毎月作って残しておく運用にしておくと、後からさかのぼって作る作業が要りません。
毎月作る形にする
申請のときだけ作ると、様式の書き方を毎回思い出すことになります。月ごとに作って綴じておくと、次の月は数字を入れ替えるだけで済みます。
作る手順は3つです。シフトが確定したら一覧表に写す、月が終わったら実績とのずれを確かめる、ずれが大きければ理由を書き添える。
ずれの理由は、急な欠勤、退職、採用の遅れなどです。理由が書いてあれば、基準を割った月があっても説明ができます。何も書いていないと、意図的に基準を下回っていたと見られかねません。
職員が入れ替わったときは、その月の一覧表に反映します。辞めた人の行を消さず、いつまで在籍していたかが分かる形にしておくと、後から追えます。
基準を割りそうなときに見るところ
常勤換算が基準に届かない月が見えたら、手を打つ順番があります。
1つ目は、計算そのものを疑うことです。分母の常勤の時間数、兼務の時間の分け方、職種の当てはめ。計算の間違いで足りなく見えていることが実際にあります。
2つ目は、勤務時間の調整です。非常勤の人に月に数時間だけ多く入ってもらえば届く、という差であることがあります。
3つ目は、採用です。時間がかかるので、いちばん最後の手段になります。逆に言えば、毎月一覧表を作っていれば、採用に動く時間が取れます。
届かないまま放置するのがいちばん避けたい形です。報酬の減算や、指定の取り消しにつながる場合があるとされています。気づいた時点で所管の窓口に相談すると、取れる手を教えてもらえることがあります。
まとめ
勤務形態一覧表は、職種ごとの勤務時間を並べて、人員の基準を満たしていることを示す書類です。労働基準法の法定帳簿ではなく、指定の基準を確かめるために自治体が求めるものです。
中心になるのは常勤換算です。その職種の勤務時間の合計を、事業所が定める常勤の時間数で割ります。分母を間違えると、換算した数が丸ごとずれます。
いちばん間違えやすいのは兼務です。同じ人の同じ時間を複数の職種に書くと、実際より人数が多く見えます。職種ごとに時間を分けて書きます。
出勤簿は実績、シフト表は予定、勤務形態一覧表は基準の証明です。目的が違うので、1つの表で兼ねません。様式と記入のしかたは自治体によって違うため、所管の窓口で確かめるのが確実です。
よくある質問
Q. 常勤の時間数は、どこで決まりますか。 A. 事業所が就業規則などで定めている、常勤の職員が勤務すべき時間数です。週40時間としているなら、月の日数から時間数を出します。自治体によっては下限が示されていることがあるため、様式の注記を確かめます。
Q. 産休や育休の職員は、どう書きますか。 A. 勤務していない期間は時間が入りません。代替の職員を置いている場合は、その人の行で時間を書きます。扱いが分かれる場面があるため、所管の窓口に確かめます。
Q. 管理者が他の事業所と兼務している場合は。 A. その事業所で勤務する時間だけを書きます。兼務先の時間を含めると、実際より多く見えます。兼務が認められる範囲は基準で決まっているため、そこも合わせて確かめます。
Q. 4週ではなく1か月で書く様式もありますか。 A. 自治体によって4週の様式と暦月の様式があります。どちらの様式を使うかで、分母になる時間数の出し方も変わります。もらった様式の注記に従います。
Q. 一覧表と出勤簿がずれていたら問題になりますか。 A. 予定と実績が完全に一致することはありません。ただし、基準を満たせない月が続いていて説明が無いと問題になります。ずれた理由を残しておくのが実務的な備えです。
Q. 一覧表は何年残しますか。 A. 保存の期間は自治体の定めによります。介護保険の記録は完結の日から2年、条例で5年としている自治体があるため、それに合わせて残している事業所が多くあります。
Q. 表計算ソフトで作ってもよいですか。 A. 多くの自治体が表計算ソフトの様式を配布しています。計算式が入っているものは、常勤換算の欄を書き換えないよう注意します。提出の形式が指定されている場合は、それに従います。
Q. 職員が1人しかいない職種は、どう書きますか。 A. その1人の時間を書きます。常勤換算が基準に満たない場合、採用か勤務時間の見直しが必要になります。一覧表を作る目的は、この不足に早く気づくことでもあります。
Q. 訪問系のサービスでは、移動の時間も勤務時間に入れますか。 A. 労働時間として扱う時間は一覧表にも入るのが基本の考え方です。ただし、常勤換算の計算で何を含めるかは基準の解釈に関わるため、所管の窓口に確かめます。出勤簿と一覧表で扱いをそろえておきます。
Q. 一覧表の様式は、他の自治体のものを使ってもよいですか。 A. 提出先の自治体が配布している様式を使うのが確実です。欄の並びや4週・暦月の取り方が違うことがあります。参考にするのは自由ですが、提出は指定された様式で行います。
Q. 常勤換算が基準ちょうどの場合、余裕を持たせるべきですか。 A. ちょうどだと、1人の欠勤や退職で割ります。実務では少し余裕を持たせておく事業所が多くあります。余裕が取れない場合は、割りそうになったときに動ける段取りを先に決めておきます。
Q. 一覧表は誰が作るのがよいですか。 A. シフトを組む人が作るのがいちばん早く、総務が確かめる形にすると計算の間違いが減ります。1人に任せきりにすると、その人が休んだ月に止まります。
Q. 常勤換算の端数はどう扱いますか。 A. 小数第何位まで見るかは自治体の案内によります。切り上げか切り捨てかでも結果が変わるため、提出先の様式の注記を確かめます。自己流で丸めると、基準を満たしているつもりで満たしていないことが起きます。
Q. 一覧表を作ると、他にどんなことが分かりますか。 A. 職種ごとの時間の偏りが見えます。特定の人に時間が寄っている、特定の曜日だけ薄い、といった形が数字に出ます。人員の基準を示すだけでなく、シフトを見直す材料としても使えます。
Q. 一覧表に書く時間は、休憩を含みますか。 A. 勤務する時間として数えるのは、休憩を除いた実際に働く時間です。9時から18時で休憩1時間なら8時間になります。休憩を含めて書くと、常勤換算が実際より大きく出ます。
Q. 夜勤がある事業所では、どう書きますか。 A. 日をまたぐ勤務は、様式の注記に従って書きます。開始した日に全部の時間を入れる形と、日ごとに分ける形があります。自治体の様式によって扱いが違うので、記入例を確かめます。
Q. 常勤換算の分母は、月によって変えますか。 A. 就業規則で定めた常勤の勤務時間から出すので、月の日数によって変わる形と、固定の時間数を使う形があります。どちらを使うかは自治体の案内によります。毎月同じ考え方で出すことが大事です。
Q. 一覧表を作る時間が取れない場合は。 A. シフト表を作った時点で、職種ごとの時間を合計する列を1つ足すところから始めます。合計さえ出ていれば、一覧表への転記は数十分で終わります。ゼロから作ろうとすると手が止まります。
Q. 提出したあとに職員が辞めた場合、出し直しますか。 A. 人員の基準に影響する変更であれば、変更の届出が必要になることがあります。基準を割るかどうかが分かれ目です。割らない範囲の入れ替わりでも、社内の一覧表は更新しておきます。
Q. 一覧表と実際のシフトが違っていたと指摘されたら。 A. 予定と実績がずれること自体はあります。問われるのは、基準を満たしていない状態が続いていたかどうかです。月ごとの一覧表と、ずれた理由の記載が残っていれば、そのまま説明の材料になります。